あなたのお財布から、毎月6,000円以上の「修繕積立金」が管理費とともに徴収され、1回目の大規模修繕工事の計画を検討する築10年目くらいには、50戸のマンションで5,000万円、100戸で1億円以上の修繕積立金が管理組合にストックされていることと思います。
そして、このコラムは、あなたのマンションで1回目の大規模修繕工事を検討するにあたり、管理会社からの提案を鵜呑みにして管理会社へ工事を発注したり、管理会社が紹介する施工業者の見積もりを信用し匿名で発注するようなことはない、という前提に立って、書いています。
つまり、大規模修繕工事の実施にあたって「設計監理方式」(管理組合が設計事務所や一級建築士事務所・技術部門を持つ管理会社をコンサルタントとして活用する方式)を採用する方向である前提で、お話しています。
今年のはじめに、国土交通省やメディアがこの設計監理者を指して「不適切コンサルタント」として警鐘を鳴らしています。
当社でも、今年に入り、以下のようなコラムを掲載して、問題提起しました。
大規模修繕工事からリベート・バックマージンをなくそう(2017.2.13)
設計コンサルタントによる不正事例(国土交通省から)(2017.2.22)
設計コンサルタントによる不正リスクの防止事例(国土交通省から)(2017.02.24)
これらのコラムを掲載する以前から、当社には、
といった相談が寄せられています。
最近ですと、
1回目の大規模修繕工事における設計監理者を募集します ※神奈川県横浜市神奈川区・499戸
2回目の大規模修繕工事における施工業者を募集します ※神奈川県秦野市・52戸
大規模修繕工事の設計監理者を募集します※横浜市鶴見区/105戸
これらのお客様は、具体的に設計監理者や施工業者の選定を支援している事例です。
当社でも、もともと「リベート・バックマージンいらずの設計監理業務」とアピールして展開していますが、当社がマンション管理士の事務所であるのと、設計監理者としての実績が多くないためか、「設計監理者の選定やチェックをお願いしたい」「癒着を防ぎ修繕積立金を多く残したい」という依頼ニーズのほうが多く、「大規模修繕工事のご意見番サービス」としてご提供しています。
当社の設計監理業務は、マンション管理士の事務所が「後づけで」作った業務であり、当社のメイン業務ではないことと、当社が一級建築士事務所登録をしていないこと(大規模修繕工事のコンサルは法律上一級建築士事務所登録を要しません)、実績そのものが多くないことなど、管理組合の目で見れば「外形的な条件が心もとないこと」そして「見積もりが他社より高い(不適切コンサルタントに見積もりで勝てるわけがありません。だからこうやってコラムで訴えていいます)」と言った理由で、残念ながら設計監理者としての実績は多くありません。
でも、当社が設計監理業務において「誇り」にしていることがあります。
それは、施工業者の営業担当者から、こう言われることです。
「大規模修繕工事でリベート(バックマージン)を一切要求してこない設計監理者は、メルさんだけですよ」
不適切コンサルタントとは、一言で言えば
「発注者(管理組合)の知らないところで、施工業者からリベート(バックマージン)を受け取る設計監理者」
「発注者(管理組合)の知らないところで、施工業者のスタッフをタダで(または格安で)融通してもらい設計監理見積もりを安くし、施工業者に借りを作る設計監理者」
ということになります。
リベート(バックマージン)は「名目如何を問わない」というところがポイント。
例えば、設計監理者が施工業者へ定常的に技術指導を行う、という名目で、その対価として指導料の名目で多額のお金を支払う
と言ったことも、立派なリベートですよね。
そして、残念ながら、不適切コンサルタントは、「設計事務所」「一級建築士事務所」だけではありません。
設計監理部門を社内に持つ管理会社によるコンサルティングも、不適切である可能性があります。
普段から付き合いのある施工業者を管理会社へ複数推薦する、と言った古いやり方だけでなく、
外形は「公募」の体を取って、実は見積もりにエントリーする施工業者は管理会社と付き合いのあるところばかり、ということも。
そして、ショックなのは「マンション管理士事務所」ですら、不適切コンサルタントに成り下がっている事実です。
ハッキリいいますが、当社がコンサルタントやアドバイザー(マンション管理士の支援)として入る仕事で、競争見積りにエントリーする施工業者の営業マンから、
「メルさんには、何%ほどお支払すれば良いですか?」
と聞かれることがあります。当社が主催する競争見積りに初めて参加する施工業者の営業担当者からは、たいてい聞かれます。
当社はリベートは一切不要であること、そのかわりに純粋な競争原理の中で工事を勝ち取ってもらうことを説明すると、「本当にいいんですか?」と聞かれます。
そんな話の中で、わざと「他の設計監理者はリベートを取っているか」を雑談の体でさり気なくヒアリングすると、ほぼ100%「クロ」の情報が入ってきます。
その中には
「『●●(某設計事務所)』と『■■(某施工業者)』とはデキている」
「『○○(某管理会社)』はだいたい『□□(某施工業者)と□□(某施工業者)』当たりと仲が良い」
と言った情報の中に、
「『▲▲(某マンション管理士事務所)』が頭に立つと『□□(某施工業者)』へ落とす事がほとんど」
「『△△(某マンション管理士事務所)』と『□□(某施工業者)』とは契約を結んでいて、上手く管理組合を誘導してそこへ発注させる」
と言った話が、入ってくるのです。
この間など、都内のある大規模マンションの大規模修繕委員会が当社を含む複数のマンション管理士をアドバイザーとして選定する際に、委員の女性が『▲▲マンション管理士事務所は大手設計事務所とくっついている情報を得ているので、絶対に声かけません』と教えてくれたのにはビックリしました。
当社は1つ2つ程度の噂や匿名の2ちゃんねる程度の情報で決めつけるようなことは絶対にしません。また、当社が直接この目で現場を押さえたわけではないので、社名を出すことはありません。
が、複数の施工業者からの情報や、上述のようなお客様からの声をトレースすると、ピタッと符合するのです。
不適切コンサルタントとは、決して設計監理者だけではなく、管理会社やマンション管理士にもいるのです。
同じマンション管理士事務所として、情けない思いです。これでは業界の地位が上がるはずがありません。
当社は、マンション管理業界や大規模修繕工事業界で表と裏とを見聞して来たスタッフが、彼らの逆を行くスタンスで徹底的に管理組合利益を守るべくアドバイスしています。
ここで『不適切コンサルタント』を見抜く方法を出すと、イタチごっこになるので、詳しくは書きません。が、少なくとも、次のことは考慮に入れておくことをオススメします。
外にもチェックポイントはいっぱいありますが、これ以上は直接当社へ聞いてください笑
大規模修繕工事は管理組合にとって『最も大きな支出を伴うビッグイベント』です。
一方で、新築工事のような0から1を生み出す工事とは異なり、既にあるものを修繕(補修)することがメインの工事であり、ある程度の技量を持った設計監理者と施工業者を選定し、アフターサービス対応や保険(保証)をしっかりと取り付けておけば、それほど大きな失敗は考えにくい工事、とも言えます。
それだけに、当社としては「技術は安定的に購入できる。それよりも何よりも『お金=修繕積立金を無駄遣いしない工事』『この先の10年、20年後に修繕積立金を回すことを視野に入れた設計監理者や施工業者の選定』に注力することを、真にお勧めしています。