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中~大規模マンションの管理組合運営(2)理事会は「役員の数」よりも「会議の質」を重視する

2014.2.10~メルマガ第52号~

【今号のお題:中~大規模マンションの管理組合運営(2)
                       理事会は「役員の数」よりも「会議の質」を重視する】

このコラムでは、中~大規模マンションの管理組合運営の課題と
改善提案について、これまでの経験を踏まえたコラムを書いてみます。

※前回コラム「大規模マンションとは?」はこちら!
https://e-sumigokochi.com/article/15018146.html

 

◆管理組合の執行部「理事会」の良し悪しで決まる資産価値

弊社では、
「管理組合の良し悪しが『住み心地』と『不動産価値』に影響を与える時代を創る」
というスローガンに基づいて管理組合のコンサルティングを行っています。

その中で、管理組合の執行部としての「理事会」の良し悪しが、
そのまま管理組合の良し悪しに直結するといっても過言ではないくらい、
理事会の運営次第でマンションの価値が決まる時代が来ている、
と確信しています。

「機能的でかつ活性化され成熟した」理事会が「継続される」管理組合は、
総じて住民の住み心地が良く、資産価値も維持されています。

不動産業界が「管理組合=理事会」の内部事情に対する価値を理解し始め、
中古マンション購入者へ説明できる時代になれば、理事会=管理組合の
良し悪しがそのまま不動産価値に直結することになるでしょう。

それくらい、理事会運営の良し悪しが重要である、と断言します。

 

◆理事会役員の定数を増やして失敗した事例

ところで、理事会の活性化を目指して、人数アップを図ろうとする
大規模マンションが意外と多いのにはびっくりします。

神奈川県内の約500世帯ほどのとある大規模マンション管理組合では、
弊社がコンサルティングに入る前、執行部である理事会の活性化を目的として
役員の定数を15名から25名へと増やしました。

理事会への「出席人数=活動できる頭数」を増加させることを目指したようです。

しかし、実際にやってみると、理事会への「出席人数」はさほど変化せず、
相対的に「出席率」が低下し、活性化が一層遠のいてしまいました。

それだけでなく、出席し続ける理事さんからは
「何とか時間を作って理事会へ参加しているのに不公平だ」

といった声が上がるようになり、モチベーションの低下が
著しい状態になっていました。

そのタイミングで、弊社がコンサル採用されたのでした。

 

◆国土交通省の「指針」はわずか10年で時代遅れに

私がマンション管理業界へ身を投じた13年前、
国土交通省が理事役員の数について、次のような指針を出していました。

「なるべく早期に多くの区分所有者が理事会役員を経験することが望ましい」
「概ね10名に1名が理事役員となることが望ましい」

10名に1名が理事役員になる、ということは、

総戸数50戸で5名
100戸で10名
200戸で20名

ということになります。

さすがに500戸で50名では会議にならないし、それだけの人数を収容する
集会室も作れないので、どこのマンションデベロッパーも子会社である管理会社と
相談しながら、理事役員の上限を2~30名までと頭打ちにしています。

この「10名に1名が理事役員になる」という考え方は、
私がマンション管理業界へ入った当時には通用していた
考え方でした。

当時は「大規模マンション=100戸以上」といった
感覚を持っていました。

私が管理会社時代にフロント担当していたマンションで
最大が125戸で。100戸を超えると「大きいな」と感じたものでした。

ところがその後、5年、10年と時を追うごとに、
マンション開発全体が「大型化」していきました。

都心ではタワーマンションがトレンドとなり、
郊外でも大規模化に拍車がかかり、総戸数が300戸、400戸、500戸と大型化され、
1,000戸近いメガマンションも当たり前の時代となりました。

デベロッパーがスケールメリットを活かしたコンシェルジェ・警備員の導入、
共用設備の充実で差別化を図ろうとした結果でもあります。

その結果、相対的に100戸レベルのマンションは
「中規模マンション」になってしまったのです。

さて、マンションが大規模化されると、
「10名に1名が理事役員になる」という指針に従えば、
200世帯以上のマンションでは、理事は20名以上ということになります。

一方で、もうひとつの指針

「なるべく早期に多くの区分所有者が理事会役員を経験することが望ましい」

に当てはめると、例えば400世帯の大規模マンションでは、
理事役員を20名としても、全世帯が役員を経験するまで20年もの時間を要します。

500世帯で理事役員の定数が16~17名程度であれば、一巡するのに30年かかります。
しかもその間で区分所有者の売却等による入れ替わりが相当数あることを考えると、
「早期に理事役員を経験させる」ことは、そもそも現実的でないのです。

マンションの大規模化・タワー化は、わずか10年程度で
理事役員の定数概念を時代遅れのものにしてしまいました。

 

◆そもそも「理事の人数」は必要か?

先ほどの事例では、理事会の活性化を目指して役員の人数(定数)を増やした結果、
結果的に一人ひとりの管理に関する関心や意識・責任を低下させてしまいました。

一票の重みが減って投票率が下がる選挙と、
区分所有者の意識はどこか似ているかもしれません。

また「早期に理事役員を経験させる」ことが現実的でない以上、
理事役員の人数が重要かどうかよりも、

「適正な運営ができる理事役員の人数は何名か?」

と言う議論になって良い時代がやってきた、と考えています。

これまで数多くの大規模(メガ)マンションやタワーマンションの
コンサルティングを実践してきて、確信しています。

 

◆理事会は「役員の数」よりも「会議の質」を重視する

事例の「理事役員の定数を増やしてしまった大規模マンション」では、
弊社から理事役員の定数を減らす提案を行い、まずは25名→15名へと
元の人数まで減らすこととしました。

そして「本質的に理事役員は何名にすれば良いか?」は
来期の課題として進めることになりました。

実はこちらの管理組合、理事会へ常に参加している人数は少なく、
当初描いていた「定数を増やし大人数で議論する」こととは程遠い状況ですが、
理事会では少人数でテーブルをくっつけて顔を近づけた結果、
意見交換が活発になり全員が言葉を発する会議体になっています。

結果として、望んでいた『理事会の活性化』は手に入っているのです。

会議は人数ではなく内容である。
つくづく再確認させられます。

(次号「理事会の適正人数は?」に続く)

 

★大規模マンション管理の問題解決と合意形成は得意です!
https://e-sumigokochi.com/category/1263073.html

 

以上「週末の豪雪を子供とではなく理事会回りで楽しむ」深山州でした!

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