【今号のお題:管理組合が「ぶれない」運営をするために必要なこと(8)】
このコラムでは、中~大規模マンションの管理組合運営の課題と
改善提案について、これまでの経験を踏まえたコラムを書いてみます。
これまでのコラムでは、
・理事会は「役員の数」よりも「会議の質」を重視するために、
多すぎる役員の定数を減らしたり、役員の任期や交替の仕方を
変えることが重要である。
・理事会役員の人数や任期を改善したら、今度は理事会の継続性向上や
活性化のための仕組み作りが必要である。
・理事会の継続性・活性化のための事例として、
○理事会引継ぎマニュアルを制作して運用している事例
○理事会の過去の歴史をまとめ、読み合わせをしている事例
○管理規約に「前文」を制定し、代々守っていく事例
○年間スケジュールを作成してプロジェクトを実行する事例
○理事の役職別にマニュアルを作り引き継ぐ管理組合
○新規入居者向けのガイドブックを作成し、入居後に説明する管理組合
○コンサルタントを「外部理事/委員や議長代行」として導入する管理組合
○ホームページ等で内・外部へ情報公開する管理組合
そして
・理事会議事録の重要性
・議事録をICレコーダー記録丸写しすることのリスク
を紹介しました。
◆とにかく徹底して欲しい「議事録は要領を」
前回、前々回のコラムでお話ししたように、
理事会など会合の議事録は、
・話し合いの要領(プロセス・ポイント・エッセンス)を
・なるべくシンプルに
記録することが、後々の理事さんが振り返ったときのために
大切な要素となります。
「なぜそういう結論に至ったのか?」
これさえあれば、多少文章が拙くても目をつぶれるくらいです。
◆私が参考にしている「議事録作成のスペシャリスト」
今から遡ること11年。
私が管理会社のフロント担当者だったころ、ある担当先マンションの理事会に、
今思い出せば「私の中で最高の書記担当理事」さんがいました。
その書記理事さんは、理事会の間、「書記役」に徹するがごとく、
ひとことも自分の意見は言わず、ひたすら他の理事さんの意見に耳を傾け、
ノートパソコン(ワープロ?)へ記録をとり続けていました。
カタカタカタカタカタカタカタカタ、、、
そしてすべての議案が終わり、理事長が閉会しようとすると、
その書記さんが
「今日の会議の内容を確認しても良いですか?」
と、おもむろに自分が記録した内容を読み上げるのです。
「一、『●●の件は、■■■の理由で全員賛成で可決とした』
であってますか?」
「二、『○○の件は、□□□と意見もあったが、将来的に見て△△△が良い、との
意見となり、否決とした』これで間違いないですか?」
「三、『☆☆の件は、◇◇◇という意見と◆◆◆という意見があり、それぞれ
▽▽▽というメリットと▼▼▼というリスクが考えられ結論がでなかったため、
各自が考えて次回理事会で再度意見交換することとした』
という理解で問題ないですか?」
と、カタカタ打っていた文章(恐らく要約したもの)を一つずつ皆さんに
確認するのです。
理事の皆さんも
『間違いないです』
『それは◎◎◎というニュアンスだったよね』
といった感じで回答して、書記さんが手直しをして、終了です。
この書記さんのやり方を見て、ものすごい堅実だ!カッコイイ!!と
驚嘆したのを覚えています。
実はこの方、本職は日本経済新聞社の記者でした。
どうりで納得でした。
◆議事録をその場で纏め上げ、理事会中に確認するメリットは、
・即完成するので書記さんの『持ち帰り負担』がほぼなくなる。
→持ち帰っての微調整はもちろんありますが、少なくとも
ICレコーダーを一から聞き直すような膨大な時間が
節約できます。
・その場で理事さんや関係者の認識を確認することができる。
→議論のポイントやプロセス・言葉のニュアンスを反映できる
可能性が高くなり、記録としての本質(生の声)が
反映されやすくなる。
・確認を受けた理事さんや関係者が議論の内容を再認識できる。
→その場で繰り返されることで認識が強まり、次回理事会まで
記憶が残りやすくなる。
と、悪いことはありません。
◆手書きメモで要約する力を
上述のような新聞記者さんはプロですから、
そこまで完璧に真似をすることはできないと思います。
でも、理事会の資料に直接メモを書き込むなどして、
話の流れや結論を記載していくことは、慣れればそれほど
難しいものではありません。
管理会社担当者の方、マンション管理士の方、修繕工事関係者の方。
管理組合の継続性や活性化を左右する議事録作成について
お互いに工夫して良いものを作りましょう。
(次号に続く)
★中規模・大規模マンション管理の問題解決と合意形成は得意です!
https://e-sumigokochi.com/sougou/komon/
以上「肝臓対策にと、ついウコンドリンクへと走る」深山州でした!