特に大手管理会社における事業戦略上の傾向として、
売上や利益率が低い小規模マンションは積極的な解約(管理委託契約の更新拒絶、または委託費の大幅な値上げ要請)をしている
が挙げられますが、近年ではその傾向が一層強まっています。
当社へ駆け込まれる小規模マンション管理組合の総会議案書を読むと、人件費の高騰を理由とした「管理会社からの管理委託費値上げ議案」を多く見かけます。
某大手管理会社では一時期、年間に管理受託する管理組合数の約半分に相当する管理組合との契約を何らかの形で解約して、「血を入れ替えて」いるとの話も入ってきました。
小規模マンションから管理会社を見捨てるのは良いことです。
しかし見捨てられるのは悲しいことですね。
ところで、管理会社に見捨てられるマンションを見ると、単に管理委託費が安くて儲からない、という表面上の利益面だけではないことがわかります。
特殊な区分所有者の存在が管理委託費には表れないコストを押し上げるのです。
それは、フロントマン(マンション担当者)が
1)モンスター区分所有者からの執拗なクレームに時間を取られる
2)検討課題がないのに過剰な頻度の理事会を開催し中身のない議論を繰り返す理事会に付き合わされる
3)居住者間の不毛なトラブル仲裁に駆り出される
といった内容で多くの時間を取られ、あるいは精神的に疲弊し、最終的に退職に追い込まれることで、人件費やスタッフ採用・研修コストを押し上げる、というものです。
フロントマンが担当できる管理組合数には当然ながら限界がありますので、大規模マンションのようなスケールメリットがない上に想定以上の労力を費やす小規模マンションは、管理会社からの積極的解約の対象となるのです。
このようなマンションの多くが「居住者間にチームワーク(合意形成)がなく、常に揉めている」傾向にあります。
管理業は「サービス業」としてまだまだ未成熟ですが、サービスを受ける管理組合の側も一枚岩とはではいかなくとも1.5枚岩位になっていないと、管理会社から解約を言われてしまうかもしれませんね。