前回ブログ「マンション管理費削減の「成功報酬制度」の功罪」では、
○マンション管理士や管理費削減コンサルタントの多くが「成功=コスト削減」と定義づけていることと、
○管理費削減ありきの管理会社変更なら管理組合が独力でできる
と書きましたが、ご理解いただけましたでしょうか?
ところで、彼らが管理費削減のコンサルティングにおいて「報酬=削減報酬」という体系を取っている「理由」をご存知ですか?
これには、「表向きな理由」と「お客様には言えない理由」があるように考えています。
○まず表向きな理由は、
「コスト削減が成功しなければ報酬はいらない」というスタンスが、管理組合への説明責任を果たさなければならない理事会としては受け入れやすい、という点です。
管理費が下がらなければお金を払わなくて良いのですから、理事会が総会で組合員へ説明するのが容易です。
成果が出なければ支払わないから安心…ということです。
コンサル側もとにかく売り込みやすいため、成果報酬と謳っています。
○そしてもう一つ、コンサルタントが「報酬=削減報酬」という体系を取る裏の理由を考えますと、それは
『成果=品質の維持・向上』についてトコトン追求できる力や責任を持つだけの自信がない
という理由に行き当たります。
繰り返し申し上げているように、管理会社の選定において、管理費の削減は特別なノウハウを必要としません。
管理組合独力でも、多くの管理会社を集めて競争見積をすれば必ず価格は下がります。
しかし管理会社の選定を価格重視で進めると、必ずといって良いほど「安かろう悪かろう」になります。
品質面での精査や、管理会社変更後の実務能力などの見極めが大切です。
ところが、彼らの多くにはそれらを見る力がありません。
多くのマンション管理士や管理費削減コンサルタントは、残念ながらマンション管理や周辺業界に関する実務経験や知識・それらに裏付けられた知恵や提案力がありません。(※)
私は仕事柄、管理会社の担当者とも多くのお付き合いをさせてもらっていますが、彼らは一様に
「管理費削減で組合に採用されたコンサルタントは実務レベルが全然わかっていない」
と言うのです。
東京と大阪のそれぞれ複数のフロントマンからの話ですので、かなり正しい話に思えます。
実務経験や知識が管理会社の社員に劣るのを管理組合に悟られたくないのか、客先では『お宅の管理費が高い』ことに終始した発言が目立ち、コスト削減に熱心な理事に火をつけているのではないか、、、と想像します。
決して実務で管理会社に言い負かされないように管理会社とは話をせず、理事会役員へ「今の管理費は高いですよ、コスト削減できますよ、修繕積立金を貯めましょうよ、、」と囁き続けるマンション管理士や管理費削減コンサルタントの姿が目に浮かぶようです。
(※) 当所コラム『採用されるマンション管理士に必要な7箇条』をご参照下さい。