マンション管理組合の現場を多く見てきた者として感じることは、居住者間の挨拶が少ないということです。
単一社会(ムラ社会)が異常に発達した日本においても『マンション管理組合』はなかなか「ムラ」になりきれないために、居住者間の挨拶(コミュニケーション)が少ないのだと考えます。
日本人社会でのコミュニケーションは『そこに所属する人同士の付き合いの長さ、深さ』に比例します。
家族はコミュニティの最小単位。学校、クラブ活動、会社、ボランティア、、、人は様々なコミュニティに属していますが、自発的に参加していることと、付き合いの密度(時間や人間関係)が向上しやすい(ムラ社会)ため、そこでのコミュニケーションは発達しやすいです。
しかしそういった密度の濃い『ムラ』から一歩でると途端にコミュニケーションが取れなくなるのが多くの日本人の特徴です。
さて、これをマンションに置き換えると、居住者は
『マンションに住む目的がバラバラで共通点が少ない』
『マメに交流する機会(必要)がない』
『理事会役員の任期が短く継続性がない』
といった理由で、付き合いの長さ、深度がなかなか向上しないため、「ムラ」になりきれないのです。このような状態ではコミュニティーが発達せず、人と人との挨拶も当然失われていくと考えます。
この、『人と人との挨拶不足』の影響を一番受けるのは小規模マンションでしょう。
「ムラ」の不存在が、『無関心な理事会運営』『トラブルを招く居住者マナー』『総会の低出席率』へと発展し、ソフト面のスラム化が進行します。
一方で、小規模マンションは後からでもコミュニケーションが比較的取れやすい(ムラを作りやすい)と言えます。
それは、共通の問題点である「財務(修繕積立金不足)」に焦点を当てた啓蒙活動を通じて、居住者間の接点(=ムラ社会の原点)が作りやすいためです。
また小規模だけに顔と名前を覚えやすいのもムラを作りやすい点です。
小さな挨拶からムラ社会を作ること。小規模マンションの生きる道です。