「規約(法律)と団地を最も得意とする」マンション管理士、平山晃です!!
今回のお題は「専有部分立入り非協力者への対応」
消防設備点検や雑排水管清掃など
専有部分への立入りが必要な管理があります。
しかしながら、この専有部分への立入りを、
プライバシーを理由に拒否される例が見受けられます。
このような居住者に対して
管理組合は、如何なる措置を講ずることができるでしょうか。
管理規約が標準管理規約と同一であると仮定して
以下に検討します。
(以下の条文番号は標準管理規約単棟型のもの)
まず、第20条・第4条・別表第1により、
組合員には専有部分を含む建物についての
管理責任があることが確認できます。
次に、専有部分内の火災感知器や排水管は
共用部分と一体である設備であり、
そのような設備の管理は、第21条第2項により、
管理組合が行うことができるとされています。
そして、第23条により管理を行う者は、
専有部分への立ち入りを請求することができ、
請求された者は正当な理由がなければ
これを拒否できないとされています。
さて、プライバシーを理由とした入室拒否が
正当な理由に該当するかが問題となります。
マンションという居住環境においては、
建物の安全・安心の確保がなされてはじめて
各居住者のプライバシーの保護が可能となると考えると、
(1)建物の適切な管理に非協力であることによって
消防設備の機能不全や排水管のつまりなどが生じ
これにより他の居住者の生命・身体・財産を
棄損する危険性が増加すること、
(2)区分所有権は、区分所有法第3条の規定によって
団体的制約を内包していると解されるため
専有部分についての絶対的な支配権ではなく、
建物の適正な管理、即ち安全・安心な居住環境の確保のために
必要な管理行為の実施については
専有部分の使用に制約を受けると考えられます。
よって、消防設備点検などで必要な専有部分への立ち入りを
プライバシーを理由に拒否することは正当とは言い難く、
第23条の規定に反するといえるため
理事長は、第67条の規定により、
その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告、
これらに必要な法的措置を講ずることができます。
第67条の規定に基づく措置によってもなお
協力が得られない場合は、
区分所有法の規定に基づき
より重い措置を講ずることも考えられます。
なお、これらの措置はいわば最終手段であり、
専有部分への立入りの目的、必要性などに
ご理解をいただくことが肝要です。
以上、「佐賀の呼子に、透明なイカを食べに行きたいと切望する」平山晃でした!