前回コラムで、僕が経営するマンション管理士「株式会社メルすみごこち事務所」と、マンション管理会社「株式会社クローバーコミュニティ」は、それぞれ今月にスマート修繕さんとパートナーシップ契約を締結したことを書いた。
※前回コラム「スマート修繕のパートナーになった理由」はこちら
スマート修繕 クリーン同盟
スマート修繕さんとともに「箱(マンション管理業界・修繕業界)の中から腐ったリンゴ(癒着勢力)を取り除く」スタートに再び立てたのだが、、、そもそも「メルみごこち事務所とクローバーコミュニティ、それぞれマンション修繕(サービス)をどのように活用するのか?
■メルすみごこち事務所(マンション管理士)の場合
深山州 マンション管理士当社(メルすみごこち事務所)では現在、大規模修繕工事のコンサルティングサービスとして「大規模修繕工事のご意見番(セカンドオピニオン」業務を管理組合へ提供している。
この業務の中の「施工業者の選定」のフェーズでスマート修繕サービスを活用する、というもの。
もともと当社では管理組合が施工業者を選定する際、技術スタッフが「業界新聞を活用した公募」や「理事・組合員から推薦」などによって施工業者を集め、アナログ作業で選定を支援してきたが、この「施工業者を集める」→「集まった施工業者をクリーン&シビアに絞り込んでいく」プロセスを、スマート修繕サービスに置き換えることで、よりクリーンでリーズナブルな工事見積もりをスムーズに取得し、管理組合目線に立てば「より納得感の高い選定」を行うことができるようになる。
施工業者選定のフェーズをスマート修繕サービスに置き換えることで、当社の技術スタッフ(建築士や施工管理技士)が行っていた業務がなくなる(または激減する)ため、当社の視点にたてば「売上が下がる」ことになるが、それでも良いのである。自己の利益より顧客利益優先は当然である。
恐らく、多くの設計事務所やマンション管理士など、大規模修繕工事を通じて施工業者から何かしらの恩恵を受けているであろう団体は、スマート修繕サービスが出回ると「自分たちの仕事が減る」「癒着ができなくなる(リベートが得られなくなる)」ため、活用することは難しいのではないかと推察できる。
■クローバーコミュニティ(管理会社)の場合
そもそも当社(クローバーコミュニティ)では、これまで大規模修繕工事における有償サポートを用意していなかった。これは当社の共同経営者であり、当社の兄貴分である「クローバー管理(福岡)」の創業者である松原の想いである「中間マージンやリベートを排除した管理会社」を世に知らしめていくプロセスにおいて、大規模修繕工事を有償サポートすることがあらぬ誤解(癒着しているデマ)を招くことを避けたい、ということが背景にであった。
しかし、現実に顧客である管理組合は、大規模修繕工事を「リーズナブル&クリーンに発注したい」という思いをもっており、何より「日常の管理委託でクリーン宣言をし貫いているクローバーさんなのだから、大規模修繕工事も100%安心して任せられる。なんでフォローしてくれないのか」というありがたい声はもともと多数あった。
また、当社を管理会社の変更先として選んでくださるほとんどのマンションが比較的小規模であったり組合員の高齢化が進んでおり「修繕積立金を賢く活用し、将来の値上げリスクを最小化したい」という考えは多くの組合員共通の願いでもある。
そこで、まずは東京のクローバーコミュニティで、トライアルとして「大規模修繕工事の技術支援サービス」を、毎月の定額委託費とは別に、希望する管理組合にのみ提案し、受注させていただいている。
このサービスのポイントは、大規模修繕工事の企画から完成までの間の
①工事仕様の作成
②施工業者の選定
③総会に向けての合意形成
④工事中の施工チェック
について、お客様がほしい業務だけ「技術者一日いくら」で買って頂く、というもの。
たとえば、組合員のなかで「工事中チェックくらいなら自分でできる」業界の方がいたり「施工業者による見積もり提出前の現地調査へ立ち会うだけならできる」といったような「技術はなくても時間はある方」でも対応できる業務を、わざわざお金を払って頼む必要がないので、節約希望であれば当社へ無理に注文する必要はありませんよ、という発想である。
当社技術スタッフの「いいとこ取りができる」のである。
お客様の懐に優しいでしょ笑
で、上述のプロセスの中の
①工事仕様の作成
②施工業者の選定
の部分を取り出して、そっくりそのままスマート修繕サービスを活用して頂く、という組み方を採用することにした。
スマート修繕サービスは利用料無料(競争見積で管理組合が選定した施工業者から受け取るシステム使用料が同社の収益)であるため「当社の技術者をいいとこ取りして安く活用する」よりもさらに安く(無料で)活用できるのである。
もともと当社は「大規模修繕工事の支援サービスを用意していない」くらい、修繕工事関連の売上を全く見込んでいない会社なので、スマート修繕サービスを活用することに全く抵抗がない。
そのうえ、お客様視点にたてば、当社がサポートするよりも工事費が安くできる可能性が高い(システムを使った徹底的な構想原理が働く)ことは、管理組合の修繕積立金値上げを最小化したい当社にとっても同じ方向を向いたサービスなのである。
ちなみに、当社がスマート修繕さんと組むことができる意外なメリットがある。
それは「DeNAグループ」という国内で知らない人はいない優良企業と、志は高くても規模や歴史の浅い当社とが、対等な関係でパートナーシップを締結できることである。
例えばある管理組合が、管理会社を当社へ変更しようか迷っているときに「え?なんでクローバーみたいな聞いたことない管理会社がDeNA系さんと提携できるの?」となり「クリーン同盟」の説明ができることで「管理会社は規模や経験じゃない。どれだけ顧客である管理組合に寄り添えるかが重要だ」というお客様には、一層の好感をもってくださる、、、という営業的な観点でとても嬉しい(笑)
以上、スマート修繕さんと当社(メル・クローバー)が対等にお付き合いできる、ということは、つまり「こちらが彼らと同様にクリーンであり、かつ管理組合の側に100%寄り添える理念を持っているかどうか」というお客様からの根源的な問いに対し、真正面から回答していることの証左なのである。