わざわざコンサルフィーを払ってマンション管理士を活用する「一定の区分所有者が、自分の住まいと資産価値に興味関心を持っている」マンションのうち、「50戸の小規模マンション」と「500戸の大規模マンション」それぞれに新人のマンション管理士を連れて行くと、管理士からはだいたい次のどちらかの反応が戻ってきます。
①500戸のマンションの合意形成はとても大変に見える
②50戸と500戸では合意形成に向けてのアプローチの仕方が違って見える
①は「量的」な見方であり、②は「質的」な見方ですね。
②を答える人は「センス」があります。(なくても努力で見え方が変わりますから心配いりません)
イメージし易いよう単純化して書くと「50戸の小規模マンション」と「500戸の大規模マンション」では、規模は10倍ですが、合意形成にかかる時間は2倍程度でしょうか。むしろ大規模マンションのほうが合意形成がスムーズなこともあったりします。
マンション管理組合を自治体に置き換えると、人口1万人の町村と10万人の市、100万人の政令指定都市、1,000万人の都、そして1億人の国とでは、そこの人民をある方向へ導くやり方が違うのと同じです。
小規模な自治体の首長なら、なるべくそこに住む一人ひとりと向き合って、対話して、具体的に寄り添い、極力希望を叶える姿勢が大切ですし、叶えやすいといえます。小規模な組織の長やそこで働く人には、一対一のコミュニケーション能力や、個々に寄り添う気持ちが必要です。
一人ひとりが持つ「1票の重み」や「自分事の度合い」が大きく、一人ひとりに寄り添わないと大きな反対が起こりやすいし、また特定の声の大きな人に全体が引きずり込まれやすいこともあって、対人コミュニケーション能力があるに越したことはありません。
マンション管理士が管理組合(個々の組合員)と向き合うときも似たような能力や姿勢が問われます。
「合意形成ではなく満足形成」と言ってた方がいましたが、まさにそのとおりだと思います。
もちろんマンション管理士=コンサルとすれば、左脳は必要ですが、右脳的な感覚を多く持つことも重要です。
一方で、大きな自治体の首長は、そこに住む一人ひとりと向き合い、対話し、具体的に寄り添い、多くの方が満足するような結果を出すことは質量ともに困難です。
そうなると「最も多数の民意がどこにあるのか」「マイノリティにどこまで配慮するか(または切り捨てるか)」を、冷静・客観的に探しだす『俯瞰力』と、なるべく多くの賛意を得るためのプレゼン能力や説明能力などが必要になります。
より左脳的な感覚を持つことが重要です。
マンション管理士の仕事で言えば、規模が大きいマンションほど、マンション管理士=コンサル的なマインドと能力を培う必要がある。「冷静に、感情に流されること無く合意形成を目指す」ということです。