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2023.03.11

[管理会社]都心から日常清掃員が消えた(2)

前回コラム[都心から日常清掃員が消えた(1)]では、マンション管理業界に共通の課題としての「シニア世代が担ってきた『日常清掃員』のなり手不足問題」について、

世の中の企業における定年年齢の引き上げ

収入が少ない短時間勤務の不人気

偏った需要(平日午前に清掃員需要が集中)

と言った背景があることを書きました。

このコラムでは、この問題に対しての対策として考えられることを述べます。が、、、正直なところ、僕の中でこれといった「即効性のある有効策」が見当たりません。とりとめもない内容になってしまうことを予め言い訳します。

1.後期高齢者の積極活用

前回コラムで書いた通り、1年前に品川区のハローワークに勤めているお客様から「ハローワークに登録しているシニア2,400人のほとんどが70~80代」と聞きました。このヒアリングから1年が経ちましたが、状況が大きく変わるとは考えにくく、日本人のボリュームゾーンである団塊の世代(まさに70~80代)は貴重な戦力です。

もちろん高齢化による体力や思考力の衰えを避けることができませんが、いまの後期高齢者は、デスクワーク中心の生活を送る僕ら現役世代よりも足腰の基礎が強い方が多いと感じます。また、スマートフォンを使える方が多いのも特徴で、マンションの現地で起こったことを写真撮影してオフィスのフロント担当者へLINEで共有する、といったように、フロント担当者がマンション現地に行かなくてもある程度仕事が完結できるような遠隔対応も期待できます。

とにかく健康第一の支援をしつつ、店頭落下リスクの高い高所作業(例:電球交換)はさせない、パンデミック発生時に無理な出社をさせない、長期継続は期待しないなど、一定のリスク管理を行いつつ、体力の衰えがあっても対応できる短時間勤務の現場を提供することで、日常清掃員のなり手不足に対し一定の対策になります。

2.現役世代(40~50代)の活用

後期高齢者とは逆に、現役世代の方を積極活用することも考えられます。現役世代の方でも正社員としてフルタイム勤務や高収入を求めず、人とのコミュニケーションをそれほど求められることなくマイペースでできる日常清掃員を希望する方は一定数います。

また、生活保護を受けながら、受給条件をオーバーしない範囲で体を動かしたい方もいます。

一定の収入を希望する方であれば、午前と午後で別のマンション現場に入っていただいたり、特定の勤務場所を決めずに欠勤が生じたマンション現場に入って頂くなど、友軍的な活用を考えることもできます。

一点、現役世代の方に課題があるとすれば、この世代は、「平成不況の影響で転職やリストラ・派遣労働など一つの職場に定着しない働き方を強いられた影響か、長続きしにくい」「ストレス耐性が低い」といった点を、これまでの採用経験から感じています。

3.派遣業者の活用

マンションへ管理員や清掃員を派遣する専門業者が数社あります。特に管理会社が代務員(欠勤時の穴埋め)的に活用することは昔からありましたが、一定期間であれば同じ方に同じ現場に入ってもらうことが可能です。

ただし、当然ながら派遣業者へ手数料を支払う必要があり、費用が割高になるため、管理会社からすると日常清掃員業務費の単体では赤字になってしまいます。

4.バイク巡回清掃業者の活用

20~40代のバリバリ現役世代を雇用し、宅配ピザ屋のようなバイクの後部ボックスに清掃用具を積んで、一日5~10マンションを巡回しながら清掃を行う会社が複数あります。
賃貸マンションやアパートなど小規模物件を中心に、分譲マンションの受注も行っています。

バイク巡回清掃業者の特徴は[時間拘束]ではなく[業務拘束]である点です。従来の日常清掃は「清掃員が8時から11時まで勤務して、清掃作業を行う]でしたが、バイク巡回清掃業者は[実施する作業と範囲・方法のみ]つまり仕様を明確にし、契約仕様通りに作業が終わったら終了・退館となります。清掃開始(来館)時間も厳密に決めません。

マンション居住者によっては、従来のシニア日常清掃員からバイク巡回清掃業者に変更することで「作業員がいつ来ているのかわからない」「マンションにいる時間がとても短い」「前の清掃員がやっていた清掃をやっていない」「ちょっとした作業を追加でお願いしたいが融通を効かせてくれない」と言った声が出る傾向にあります。
あくまで契約内容に沿って業務遂行しているので契約違反ではありませんが、違和感を覚える居住者は多いかもしれません。

5.マッチングサービスの活用

ここ1~2年で分譲マンションの業界へ徐々に進出しているのが、ITを使って「清掃してほしい物件オーナー」と「働きたい個人」とをスマホでマッチングさせるサービスです。テクノロジー的には、UberEats(ウーバーイーツ)やタクシー配車アプリのようなイメージですね。4.と同様に、賃貸マンションやアパートなど小規模物件を中心に急拡大しています。

分譲マンションの日常清掃についてはこれから参入を強める可能性がありますが、ネックなのはゴミ出しです。分譲マンションにおける日常清掃の範囲には「敷地内から公道へのゴミ出し作業」が含まれます。多くの自治体が公道からゴミを引き上げる「平日午前」に日常清掃の依頼が集中するため、なり手が多くないことは課題です。

そしてマッチングサービスの場合、働き手が急に清掃をキャンセルした場合、代務員の派遣がなされないことが大きな課題です。上述のゴミ搬出作業が滞ってしまえば、マンション内にゴミが溜まって確実にクレームとなります。
これがために、現状ではマッチングサービスと分譲マンションとの親和性は低めです。

6.居住者による清掃

マンションの区分所有者や居住者に、管理組合から報酬を支払って日常清掃をお願いすることは、自主管理マンションや団地の一部では昔から行われています。地消地産ではありませんが、管理組合のお金をマンション居住者へ回すこと自体も良いことではないでしょうか。
またシニアの方で「健康のために身体を動かしながら貢献できれば」と考えてくれる居住者であれば、最低賃金でも喜んで働いてくれるケースが非常に多いです。逆に最低賃金を上回る賃金を要望しにくい、ともいえます。

唯一最大の課題は「契約では割り切れない人間関係もセットでついてくる」ことです。清掃の品質や対応が悪いときに、管理組合(理事会)から本人へ指示命令ができるのか?また居住者が出すゴミを同じマンションに住む居住者が仕分けすることに、お互い抵抗がないか?ゴミ出しマナーの悪い居住者を居住者清掃員が理事会へ報告したり直接注意できるか?

この点がネックになって、これまでマンション管理業界では居住者による日常清掃はほとんど広がりを見せませんでしたが、上記の課題を上手にカバーしつつ、本人が休むときに他の居住者がサポートしてくれたり、3.を単発で活用するなどのフォローアップ体制まで検討できれば、十分にありだと思います。なにより他の方法に比べてローコストで解決できるのも管理組合目線では有益ですよね。

自治体は福岡市の「ゴミ回収の夜間化」を真似してほしい
福岡市は「ゴミ回収の夜間化」を行っています。夜間にゴミを引き上げることにより「(昼間の)ゴミが公道に置かれることによるマイナス景観がなくなる」「カラスによる被害がなくなる」「交通量の少ない夜間・深夜帯の活動によりゴミ収集車が効率よく回収できる」と言ったメリットがあります。
また、実際にゴミを出す市民からの満足度も非常に高いそうです。

そして分譲マンション(管理組合)の目線にたてば、ゴミ収集車が夜間にゴミを引き取りに来てくれることで、日常清掃員を午前に集中配置する必要がなくなりますし、一人の清掃員が午前・昼間・夕方と3つのマンション清掃を掛け持ちすれば収入が上がるなど、働き手にとってもプラスです。
クローバーコミュニティの兄貴分であるクローバー管理(本社:福岡)は「日常清掃員のなり手不足問題はクローバーコミュニティ(同:東京)ほど深刻ではない」と言っています。

もちろん自治体としては様々な検討事項があるので大変だとは思いますし、受託する民間会社にとっても仕事が昼夜入れ替わるわけですから大変なことを承知のうえで、ぜひ検討していただきたいところです。

以上、評論家みたいで嫌なのですが、いま僕が考えられる対策です。
これ以外に案があればぜひコメントください。クローバーコミュニティでチャレンジし、このコラムでフィードバックさせていただきます。

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