マンション管理コンサルタント(メルすみごこち事務所)にしても、管理会社(クローバーコミュニティ)にしても、マンション管理のことで相談に来られるお客様の多くは、管理組合の理事長としてマンション管理を勉強され、かつ自分のマンションの課題を理解し、どんどん解決のために推進したい、という情熱と能力をお持ちです。
進むべき方向が見えている理事長が結構多いです。
ところが、
「他の理事や住民がついてこない」
「やる気がない」
「仕事を頼んでも嫌な顔をされる」
そのため
「マンション管理組合の課題解決が進まない」
と、ここで足踏みしている理事長も、これまた多いです。
マンション理事長からこういった相談を受けて、理事会へ出席してみると、
・知識とやる気と想いが豊富な理事(長)
と
・気持ちが受動的な他の大多数の理事
とで、雰囲気や会話量に大きなギャップがあります。
理事会の会合を重ねるほど、このギャップは広がっていくのです。
「長期修繕計画を見直したい」
「修繕積立金を値上げしなければならない」
「居住者間のイベントやって盛り上げたい」
「今の管理会社の対応が悪いので交渉したい」
多くの熱心な理事長は、このように言いますが、大多数の理事は、「反対」なのではなくて「ついていけてない」のです。
理事は「能力不足」ではありません。
「やる気不足」でもありません。
「動機不足」なのです。
ここ、大切です。
「やる気不足」と言うと、悪いのは無関心な理事だ、と批難になってしまいます。
でも、
「動機不足」とすれば、動機を提供できない理事長自身に課題がある、となります。
理事会役員が積極的に活動する動機には、
「いま動かなければならない」
「放置するとまずいことになる」
という「危機回避的な動機」と、
「活動するメリットがある」
「もっと良くなりそう」
「楽しそう・面白そう」
「ありがとうって言ってもらえる」
という「能動的な動機」があります。
どちらでも良いので、理事に動機が提供できれば、理事は理事長まで行かずとも、もっと主体的に考えてくれるようになります。
もともとマンション住民にはマンションを購入する(ローンを組む)だけの社会的な素養や能力がある、といえます。
上手に動機を提供することで、一人ひとりは忙しくとも、少しずつ力を貸してくれるようになります。
この、あと一歩の状態で足踏みする理事長が、とても多いです。
逆を言えば、この「関心の低い理事への動機付け」ができなければ、良くも悪くも「ひとりの突出した理事長」による独断運営になります。理事長本人に独断運営の意識がある・ないにかかわらず、大抵の場合、理事会で理事長が繰り出すあらゆる問題提起や提案に対して、ほとんどの理事が
「よくわからないことにスピード出してやるのは腑に落ちないけれど、熱心な理事長がそこまで言うならやって良いんじゃないの?」
「でもそのために理事会の会合を増やしたり時間を長くしたり、自分の仕事を増やされるのは勘弁して欲しい」
「早く任期を終えて理事を辞めたい」
と、動機が育たぬまま、極めて受動的な立場を取ることになります。
ファシリテーション(合意形成)やコーチングによって、
無関心な理事の気持ちにスイッチを入れることが、この理事長に必要です。
もちろん、理事長にその能力があるとは限りません。
そんな時は当社のようなプロに頼むのも一考です。
動機づけされた理事が多い理事会のメリットは、
・運営そのものに多数の動機づけされた理事の建設的な意見が反映される。(多様性)
・多くの理事(住民)を巻き込むため、多くの関係者が充実する。(活性化)
・特定の人間による運営ではないため、上手に引き継げればブレずに長続きしやすくなる。(継続性)
ということです。
情熱と推進力がある理事長には、プラスアルファ「他の理事への動機付け=ファシリテーション」です。
~~ウィキペディアから転載~~~~~~~~~~~~~~~
ファシリテーションとは、会議・ミーティング等の場で、発言や参加を促したり、話の流れを整理したり、参加者の認識の一致を確認したりする行為で介入し、合意形成や相互理解をサポートすることにより、組織や参加者の活性化、協働を促進させる手法・技術・行為の総称。
コミュニケーションスキル以外にも、グランドルールが必要な場合の内容設定や補助、プロセスデザイン、ミーティング自体の進め方や、さらに会議の場所や参 加者の選択、日程のデザインなど、オーガナイザーやリーダーの役割を含む場合もある。会議の場に限定せずとも、日常での組織コミュニケーション全般におい て、ファシリテーション技術は活用することができる。また、会議の場などで、コンテンツ(議論の内容)に対して公平な立場にたち、話し合いのプロセス(流 れ)に介入してファシリテーションを行う者のことをファシリテーター(Facilitator)という。
ファシリテーターの典型として坂本龍馬が挙げられる。龍馬は薩摩・長州いずれの藩の利害も代弁せず、外圧に対抗するため薩長連合の実現を最優先事項として 両勢力に関わる。ファシリテーターにはファシリテーション技術もさることながら、参加者または組織に対して良心に基づいた、達成イメージへの情熱と信念も 合わせて必要とされる。