2012.12.11~メルマガ第24号~
【今回のお題:大規模修繕工事の発注方式とは?】
当社はこの秋から大規模修繕工事の設計監理業務(コンサルティング)を本格的にスタートさせました。
おかげさまでお問い合わせも9月に3件、10月に5件と順調に頂いております。また既に2件の受注見込みとなりました。
ところでこの大規模修繕工事、マンション管理組合へ営業に出かけると、多くの組合員から
「管理組合は誰と契約するの?お宅はなにしてくれるの?」
という、素朴かつ重要な質問を頂きます。
ほとんどの組合員にとって、大規模修繕工事に接することは初体験だと思います。
言ってみればお葬式と同じで、急に自分達が理事の順番に回ってきて、
急に大規模修繕工事の準備が目の前に迫っても、何をして良いのかわかず混乱してしまうかもしれません。
そこで今回は「大規模修繕の発注方式」について記してみたいと思います。
○工事の発注先は、もちろん施工業者。ただし直接契約か、パートナーを入れるかが異なる
一昔前は管理組合が施工業者へ直接工事を発注するのが一般的でシンプルでした。
しかし工事費に競争原理が働かないのと、施工業者の工事品質をジャッジしたり指導する人がいないことなどが課題としてありました。
そこで近年では「設計監理者」を技術的なパートナーとして施工業者とは別に採用して、
建物の調査から施工業者の選定、工事のチェックなどを管理組合に変わって行わせる方法が一般的になってきました。
○管理組合・施工業者・設計監理者・そしてセカンドオピニオン
管理組合が大規模修繕工事を発注する方式は様々です。
ここでは発注方法やそのメリット・デメリットについて記します。
1)責任施工方式
①マンション管理組合が②施工業者へ工事の一切を発注する方式です。③設計監理会社も 後述する④セカンドオピニオンもおらず、②施工会社との信頼関係にのみ依拠した発注形態です。
この方式では、工事費と工事品質に競争原理が働かないことと、②施工業者の工事品質をチェックする機能がないことから、理事会として組合員(居住者)へ「なぜその施工業者へ○○○○万円で発注するのか」の根拠説明ができず、管理組合での合意が得られにくい発注方式と言えます。
現在ほとんどのマンション管理組合ではこの方法は採りませんが、もしあなたのマンションの理事会がこの方式を考えていたら、理事会がよほど無関心で管理会社に依存しているか、理事長や専門委員長が施工業者と何かしらの癒着関係にあるか、、と疑わざるを得ません。
2)設計監理方式
①管理組合と②施工業者の間に③設計監理者が入り、①管理組合の立場に立って技術的なパートナーとして支援を行う方式です。
この設計監理者には、次のような候補が考えられます。
・設計事務所(法人)
・一級建築士事務所(個人)
・修繕に強いNPO法人
・管理会社の中の設計監理部門
・マンション管理士事務所の中の設計監理部門(当社はこれに該当)
この方式では、③設計監理者へ別途報酬が必要となりますが、精度の高い建物劣化調査や工事仕様の設計を受けることにより無駄な工事を省くことができ、かつ②施工業者 の選定を適正に実施してもらえれば、工事費の削減になり、③設計監理者の採用コストは十分に回収することが可能です。
3)設計監理+セカンドオピニオン方式
③設計監理者とは別に、①管理組合の立場にたったアドバイザーとしての ④セカンドオピニオンを別途採用する方式です。
なお、④セカンドオピニオンの活用イメージは、
・理事会や修繕委員会に出席して助言したり、③設計監理者とのやり取りや指摘
・修繕工事の計画段階から工事完成(竣工)期間まで通しての技術顧問
・大規模修繕工事そのものの責任者(修繕工事に限定した理事長代行)
・マンション管理士的なファシリテーター(理事会や修繕委員会内部、理事会と組合員(居住者)との橋渡し的な意見調整役)
など、①マンション管理組合の実情に応じて様々です。
ではなぜ「③設計監理者がいるのに、わざわざ④セカンドオピニオンが必要なの?」と聞こえてきそうです。
そうです、③設計監理者が管理組合のパートナーとして100%であれば良いのですが、実は多くの設計監理者には「修繕技術以外」の課題があるのです。
この課題とは?(次回に続く)
以上「最近、虫歯で何も食べれず、ゼリー飲料が手放せない(泣)」深山州でした!