2014.12.9~メルマガ第71号~
【今号のお題:マンション大規模修繕を成功に導く9か条 その2】
大規模修繕工事のプレーヤーとは?①
前回コラムまでで、大規模修繕の全体の流れをつかんだところで、
次のフェーズは「大規模修繕工事に携わる人」を整理してみます。
大規模修繕工事は、予算的にも、時間的にも、
それまでのマンション管理組合活動とは比べ物にならないくらい、
様々なモノが動きます。
それは「人」についても同じです。
管理組合の各役職者はもちろんのこと、
管理会社、施工業者、設計監理者、セカンドオピニオン、、、
様々な人が関わりますが、これだけでも普段聞き慣れない用語に
戸惑う方も多いはず。
ここでは大規模修繕工事に従事する人を理解しましょう。
1)お客様(管理組合)
「理事長」
このコラムをご覧になっている多くの方が理事長かもしれません。
マンション管理組合の代表者(管理者)であり、大規模修繕工事の
責任者とも言えます。
大規模修繕工事の計画からパートナー(設計監理者・施工業者等)選定、
実際の修繕工事内容の決定に至るまで、管理組合の執行機関である
理事会のトップとして決断し、総会で組合員の合意を取り付ける
大切なポジションです。
また、最近では理事会の諮問機関として大規模修繕工事の検討に特化した
「専門委員会」を立ち上げて検討に当たらせる管理組合が増えてきましたが、
この専門委員会はあくまで理事会の下部組織であり、委員会の意見・提案を
受けて最終的に判断するのは理事会となるため、やはり大きな責任を負う
ことになります。
もちろん、世間一般のマンション理事長のほとんどが大規模修繕工事に
関する知識・経験を持ち合わせているわけではありません。
実際は設計監理者や施工業者を採用し、彼らの技術や助言を得ながら
大規模修繕工事を計画し実行に移さなければなりませんが、よほど
悪いことをしない限り、法的な責任は発生しないと言って良いでしょう。
ですので、あなたが理事長としてリーダーシップを発揮するタイプでは
ない場合、無理にリーダーシップを意識する必要はなく、むしろ
他の理事や専門委員会メンバーの意見や提案を活用し、専門家の意見に
耳を傾けながら「計画や工事を進める」ことに集中すすれば良いでしょう。
なお、理事長が建設業界経験者の場合、もちろん技術的には大きな力に
なりますが、関係者間の意見調整や合意形成といった「大きな意味での
大規模修繕工事」を成功させる能力があるとは限りません。
また、理事長が建設業界経験者の場合、他の理事や組合員全体が理事長を
盲目的に信用し、すべてを依存してしまう傾向にあります。
その結果、その理事長が善意の方なら本人の負担が多くなり、
悪意を持った方が理事長になると、業者との癒着や金銭授受など、
管理組合の利益を損なう可能性があります。
一回の工事で莫大な修繕積立金が動くため、注意が必要です。
これまで多くのマンション管理組合を見てきて、建設業界経験者は
理事長よりも理事として技術的な支援をするのが一番合理的です。
「理事」
マンション大規模修繕工事においては、副理事長を含めた理事の仕事は
「理事長のサポート役」として、会合で議論したり理事長の仕事を分担
するなど、理事長の心理的・体力的な負担を減らしてあげることが
大切です。
また「理事長」のところで書きましたが、理事の中に建設業界経験者が
いる場合は、技術的な面で理事会(長)の大きな助けになります。
「監事」
日常においては、会計面と理事会運営面で理事会に不正がないかを
チェックするのが本来の監事の仕事です。
大規模修繕工事においても特定の理事や委員会メンバーによる恣意的な
活動(施工業者の選定など)や不正なお金の流れ(紹介料など)がないかを
チェックする役目が考えられます。
が、現実には専門知識と冷徹なまでの客観性(理事が同じ組合員同士でも
容赦なく監事の役割に徹するマインド)がないと、現実的にチェックする
のは難しいものがあります。
大規模修繕工事のプロセスにおける理事会での議論の進め方や
各種書類の整備状況・修繕工事費の支払いの流れ程度は抑えて、
総会などで組合員へ報告したいところです。
(つづく)
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以上「とうとうペットの亀がバルコニーで本格冬眠に入り寂しい」深山州でした!