バルコニーに引き続き、「専用庭からマンション管理を見るポイント」を挙げてみます。
1.庭の中の芝生・植物
「専用庭」と名前がついている以上、そこは庭です。
庭=グリーンと容易に想像がつくと思います。
分譲当時は緑一面の芝が植えられていたものが、雑草が生え芝が侵食されたり、芝が枯れて地面が露出しているところを多く見かけます。
土壌や水はけ・日当たりが悪かったりと、芝生が育たない理由は多くありますが、適切なメンテナンスをしていないのも大きな理由です。
マンション管理会社に敷地内の植栽作業を委託する場合、基本的に専用庭内の作業はしてくれません。専用庭はあくまで各区分所有者が主体的に管理する場所だからです。
また、実務上も、
・居住者が在宅していないと専用庭へ立ち入れないことが多い
・居住者が後から植えた植物などと見分けがつかなくなる
などの理由により、多くの管理会社は専用庭内の作業に消極的です。
従って、専用庭の維持・管理は各部屋の区分所有者が行うことになります。
まめに手入れをするのが好きな家庭で、「専用庭があるから1階を購入した」という方なら、キレイでおしゃれな庭になるのですが、ただの雑草地へと変わり果てるところも多く見てきました。
ご存知の通り、雑草は生命力が強く生長も早いため、こまめに処理しなければなりません。
また雑草地には昆虫が発生し、近隣住戸が虫嫌いだとちょっとしたトラブルになることがありますので注意が必要です。
2.目隠し(境界線の生垣)
ヒノキ類は日本の気候に合いマンション植栽の主流です。
多くのマンションでは、専用庭の外を囲むように植栽が生垣状に植わっています。目隠しの効果を期待していますが、整然とした生垣はマンション全体の美観を向上させます。
最近の新築マンションでは、この生垣にゴールドクレストやヨーロッパゴールドに代表される「コニファー」類を採用しています。
日本の気候に比較的合いますし、洋風なイメージがマンションに合致するのでしょう。今ではコニファー類の全くない新築マンションを探すほうが大変です。
その他、春先に葉が赤く染まるレッドロビン(カナメモチ)なども多くのマンションで採用されます。
最近では冬に花を咲かすサザンカ(山茶花)やツバキ(椿)類で生垣を構成する割合が減っているように感じます。やはり時代の流れでしょうか。
ところで、この生垣が荒れているマンションを非常に多く見かけます。
葉が枯れて落葉し、その穴から専用庭が、その先の1階居室までが丸見えのマンションを見ると残念に思います。
マンション管理の現場において、植栽の手入れは建物や設備のメンテナンスに比べ軽視されがちです。
管理会社として下請けの造園会社へ再委託(丸投げ)するところが多く、低額な予算で最小限の作業を強いられる造園会社としてもジレンマを感じています。
また管理組合(各区分所有者)にしても、自分達で植樹したわけでなく入居したら植わっていたため、思い入れも薄いのが現状ではないでしょうか?
3.ペットの臭い
ペット飼育可のマンションで、専用庭へ犬や猫を長時間遊ばせる世帯があります。その時にでる糞尿や毛などを放置しておくと、猛烈な臭いを発します。
これは近隣住戸との間でトラブルを起こす可能性が非常に高いです。
特に、エントランスホールに近接する住戸の専用庭でこれをやられると、マンション全体のイメージがダウンしますので注意が必要です。
4.空からの落とし物
1階の居住者がいくら専用庭をきれいにしていても、「空からのゴミ」はどうにもなりません。
例えば、上階のバルコニーでホタル族が吸うタバコ。
灰なら飛散するのでわからないでしょうが、吸殻をポイ捨てされると、専用庭の芝生に落ち目立ちます。このようなマナーの悪い居住者がトラブルを起こします。
また、上階から布団が降ってくることもあります。バルコニー手摺に干していた布団が風で落ちるのです。なお布団はかなり重く、下にいた居住者に直撃すると大怪我につながる凶器ともなります。
そもそも布団をバルコニー手摺(壁)にかける人は、マンション全体の美観をそれほど意識していません。布団干し住戸の多いマンションは、(居住者)全体の雰囲気として美観に対する優先度が低いということであり、鷹揚で飾らない人が多い、とも言えるでしょう。