2015.5.28~メルマガ第82号~
【今号のお題:マンション大規模修繕を成功に導く9か条 その8】
◆設計監理者(設計事務所・一級建築士)の功罪とは?その②
大規模修繕工事における設計管理者活用における課題と改善方法を考える、、、の続きです。
・設計監理者(設計事務所・一級建築士)の課題②:『新築設計出身の設計事務所の経験不足』
長引く新築物件の建設減少のためか、それまで既存物件の修繕に見向きもしなかった
「新築物件を手がけてきた設計事務所や一級建築士」が大規模修繕の設計監理者として見積もりに参加するようになってきました。
競合が増えることは修繕業界のレベルアップにつながるので良いことです。
ところが実際に新築を多く手がけてきた設計事務所と話しをしてみて、
「これはとても管理組合へ推薦できるレベルではない」と思えるところがとても多いのです。
当社のマンション管理組合向けコンサルティングで「セカンドオピニオン業務」というのがあります。
これは当社が自ら設計監理を行うのではなく、管理組合のアドバイザー(外部理事のようなもの)的な業務です。
このセカンドオピニオン業務の一環としての「設計監理者の選定支援」があり、そのマンションが立地する行政区域内の建築士事務所協会へ管理組合へ推薦できる設計事務所を探し、提案見積もりを出してもらうことが何度かありました。
この建築士事務所協会に属している設計事務所や一級建築士事務所は、そのほとんどが新築を多く手がけるところばかりでしたが、実際に話しを聞いてみると大規模修繕工事に対する理解が足りなかったり、クライアントである管理組合の仕組みをわかっていなかったり、居住者が住みながらの工事に対する理解がなかったり、実際の見積金額の根拠が曖昧であったりと、とても管理組合へ推薦できないレベルの所が多かったのが実感です。
新築の設計をすれば、その建てたもののリニューアルの設計など簡単なのかと思っていましたが、どうやら新築と修繕はそのノウハウがかなり違うことも見えてきています。
このような修繕リニューアルの実績の乏しい設計事務所には頼まないほうが得策です。
・設計監理者(設計事務所・一級建築士)の課題③: 『管理組合内部の合意形成支援が苦手である』
これは上記の新築を手がける設計監理者に限らず、大規模修繕に特化した設計事務所や一級建築士にも言えることですが、担当する建築士の多くが「大規模修繕の技術のみを提供」しており、お客様であるマンション管理組合側の「合意形成」にはほとんどタッチしない、と言うことです。
管理組合は大規模修繕工事のノウハウがないのでプロの設計事務所へ依頼します。
そして設計監理者には「修繕の技術」だけでなく「居住者間の合意形成上のアドバイス」も期待するものです。
しかし、実際には居住者間の合意形成に関与してくれる担当者に会うことはあまり多くありません。
そこはお客様で決めてください、と言わんばかりの建築士も結構多いのです。
それではマンション管理組合の大規模修繕工事を支えるプロとしては失格だと思うのですが、残念ながらここ一番の決断を理事会や修繕(専門)委員会だけで決めていても成り立っているのが修繕設計業界です。
一日も早く「合意形成にまで踏み込んで助言できる設計監理者が当たり前の時代」を作らねばなりません。
(続く)
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以上「時間がなくて睡眠が取れない、と言いつつ気がついたら寝ていることが多い」深山州でした!