2014.2.25~メルマガ第53号~
【今号のお題:中~大規模マンションの管理組合運営(3)
理事会の適正人数は何人?その1】
このコラムでは、中~大規模マンションの管理組合運営の課題と
改善提案について、これまでの経験を踏まえたコラムを書いてみます。
※前回コラム「大規模マンションとは?」はこちら!
https://e-sumigokochi.com/article/15024342.html
◆理事会役員の人数は多ければ良い、ということはない
前回コラムでは、中~大規模マンションの理事会運営において
「役員の数」よりも「会議の質」が重要であることを話しました。
事例として、約500世帯の大規模マンションで役員の定数を
15名から25名へと増やした結果、理事会への「出席人数」は
変化しないままに「出席率」が低下し、活性化が一層遠のいて
しまい、元の人数に戻した話をしました。
また、国土交通省が理事役員の数について、
「なるべく早期に多くの区分所有者が理事会役員を経験することが望ましい」
として、おおむね10名に1名が理事役員になるべき、と示した考え方が、
マンションの大規模化に伴い時代遅れになっている話もしました。
理事の頭数を増やすことと理事会が活性化し継続性をもたらすこととは、
何の関連性もないことがわかります。
◆マンション理事会ではご法度「何となくポスト」
多くの中~大規模マンション管理組合では、理事役員が
15名とか20名、ややもすれば25~30名もの大所帯であることが
多いです。
仮に25~30名ほどの企業であれば、経営者は従業員の一人たりとも
遊ばせず、適正に働いてもらうようにしますし、
それだけの仕事があります。
仕事がなければ仕事量に見合った従業員数に減らすのは
経営上当然のことです。
一方で、マンション管理組合は
・理事会にどれだけの仕事があるかわからない
・管理会社(企業でいえば従業員)の業務サポートがある
・マンション管理士(〃コンサルタント)の知的支援がある
にもかかわらず、理事会の定数は25~30名と固定であるため、
・実際にどれだけの仕事があるかはわからないが、
役員全員が何となく何かしらの役職に就いて、
理事会の仕事を何となくシェアする
という発想になります。
人数に見合った「ポスト」を作り出すのです。
理事長、副理事長、監事は必須としても、
会計理事、修繕理事、書記理事、防災理事、自治会担当理事、
環境理事、駐車場理事、駐輪場理事、規約理事、コミュニティ理事、
IT理事、植栽理事、ペット理事、マナー理事、共用施設理事、、、
と管理組合によって様々なポストを作り、
そこへ理事をはめていく管理組合がとても多いです。
ここには、管理会社の助言や長年の慣習(前期理事会からの引継ぎ)
もあるでしょう。
実際に役職の肩書きに該当する仕事があるわけでもなく、
適材適所でもなく、本人の意思があるわけでもないのに、
ポストへ人をはめていく人選が多いケースは
理事会が機能しない中~大規模マンション管理組合の特徴です。
この「何となくポスト」に就任した理事役員の
モチベーションはどれだけ維持されるでしょうか?
ほとんどの場合、維持できないばかりか低下する一方です。
当社へお問い合わせを頂く大規模マンションの
理事さんが口を揃えて、
「他の理事さんが無関心でぜんぜん動かなくて困っている」
と悩みを打ち明けられますが、
全員に共通するのは、理事会の人数が多すぎて、
かつ全員が何らかのポストに何となく就いているケースです。
◆理事会の人数とポストを一度リセットしよう
とても勇気のいることだと思いますが、
管理組合の執行部である理事会を活性化させ、継続性あるものにするために
まずはじめに必要なことは、
・不要な人数とポストを思い切って削減する
これが、当社がこれまで50件の中~大規模マンションを見てきた
経験から導く「回答」です。
管理会社の業務フォローを最大限に活用でき、
マンションによっては当社のようなコンサルタントを採用し知的支援を
受けることができる状態であれば、
ボランティアで何となくあてがわれたポストに就いてモチベーションが
上がらない理事は必要ないのです。
(補足:モチベーションを高めた理事が多い理事会が
理想であることはいうまでもありません。)
管理会社からの助言や前期理事会からの引継ぎ、過去の慣習にとらわれず、
まずはゼロベースで考えることをおすすめします。
(適正な理事の人数は何人か?次回に続く)
★大規模マンション管理の問題解決と合意形成は得意です!
https://e-sumigokochi.com/category/1263073.html
以上「大雪時に自宅マンションで何もできず申し訳ない」深山州でした!