前回ブログで書いたように、9月6日にブラウシア管理組合の「資産価値を守り高めるための理事会活動」の取り組みが、テレビ東京「ガイアの夜明け」で放映されました。
また、8月31日に、イニシア千住曙町管理組合法人の「理事会・住民間の合意形成」の取り組みが、nhk「クローズアップ現代+」で放映されました。
両マンションとも、5年ほど前から理事会顧問(マンション管理コンサルタント)として採用していただき、今日に至っています。
両マンションの運営形態はかなり違いますが、とても大切な「根幹」の部分は見事に共通しています。
前回のブログ「イニシア千住曙町とブラウシアの管理組合運営上の共通点(1)」では、共通する根幹「その1」として、
「理事長の仕事(や作業)を減らし、他の理事(組合員)へ割り振られている(シェアしている)」
「組織力が違う」
と書きました。
仲間から作るか、箱からつくるか
ブラウシアもイニシア千住曙町も、理事会運営を共にする「仲間」がいて、理事長に仕事が集中しすぎないように考慮し、その分を他の理事や組合員へ上手に割り振られている点は同じです。
しかし、今日の秀逸な組織が出来上がるまでに至ったプロセスは、
私が見た限り「全く」違います。
仲間の集まりが最初で、後から箱(仕組み)ができたブラウシア
ブラウシア管理組合は、私がコンサルタントとして支援に入った当初、理事会として強い組織力はありませんでした。理事の任期は1年で、通常総会が終われば全員入れ替わりでしたし、新旧役員間の引き継ぎもほとんどなし。
当時の管理会社のアドバイスも限定的で、強烈なリーダーシップ(個性)を持った理事はいませんでした。
一方で、リーダーがいない代わりに、理事同士の会話(雑談でも良いんです)ができるような「雰囲気」はありました。全員が「気持ちの上で横並び・平等で話しやすい」という感覚です。
「上手に火が付けば横のつながりは発展しそうだな」
という感覚は当時からありました。
そして、当時の管理会社を変更したり、共用部分の備品を自分たちで考えて買い足したり、新たな備品を購入したり、イベント(これは当時からありました)を自分たちの力でカスタムして、
「自分たちでマンションの管理を変更・改善できるんだ」
「皆で力を合わせば達成できる」
という成功体験を積み重ねるうちに、理事長や副理事長を中心とした理事同士の絆が深まっていくようになります。
しかし、管理規約に「理事の任期や1年で、全員が入れ替わる」というルールがある限り、理事会が積み上げてきた「成功体験」「仲間」「継続性」が全部切れてしまうリスクがあります。
そこで、当時の管理会社を変更するプロセスの中で、理事の任期を2年、毎年の総会で半数ずつ入れ替わるルール変更を行いました。成功体験を積み上げた理事さんのなかで、積極的に2年目を引き受けてくれる方が何人かいていただいたのが良かった。
そして、事情があって理事を継続できないが、培ったノウハウや過去の出来事を伝える役割など、力は貸したい、と考える退任理事のために、オブザーバーとして気軽に参加できるルールを作ることで、初めて理事になった方を支える仕組みができました。
そして、次に皆さんが考えたのは、
「これだけの人数(約20名)」が仕事を分担できれば、もっと効率的に運営ができる」
ここで、組織作りでした。
そこで、理事会役員を、役割の異なる4つのワーキンググループに分け、それぞれに1年目理事、2年目理事を配置し、分業するルールを、このタイミングで整理して作ったのです。
・理事会運営全般・管理会社とのやり取り・対外的な対応を行うグループ
・建物や設備の修繕・営繕を担当するグループ
・ルールやマナー・広報を担当するグループ
・住民間コミュニティ(イベント含む)を担当するグループ
これらのグループそれぞれに、キャリア上の先輩理事、後輩理事が配置され、さらにオブザーバーが助っ人に加わることもできることで、リレーで言えば個々のワーキンググループでもバトンが渡される仕組みができあがりました。
そして、仕組みが出来上がるとともに、「理事長の仕事(や作業)が減り、他の理事(組合員)へ上手に割り振られる(シェアする)」ようになりました。
理事会は、今では強固なチームになっていますが、当初から振り返ってみると、
「最初に仲間ができ、後から仕組み(箱)ができた」
というのが、ブラウシアの強固な組織力が出来上がったプロセスです。
一方で、イニシア千住曙町管理組合法人の組織作りが出来上がるプロセスは、全く異なります。
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深山 州