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管理組合が業者をヒアリングするのに必要な時間とは

(2018年3月15日更新)

顧問先のマンション理事長より、次のような質問がありました。

Q:現在進めている植栽業者の選定(コンペ)について、一社当たり何分のヒアリング時間を設けるのが妥当でしょうか?
また、注意するべき点がありますか?

複数の候補業者がある場合、一社当たりどれくらいの時間をヒアリングすれば、理事役員が比較検討できるか?というお悩みです。

 

マンション管理でコンペに一社何分必要かA:はっきり『●●分で』とは言えませんが、当社が「複数の業者(サービス)の選定を支援するコンサルタント」として現場に入るとき、「参加者の合意形成を大事にする」という観点で考えると、

・選定の対象となる業務の内容
・聞き手である理事会の理解度・知識度や関心度
・何社を呼ぶか

この3つの要素で、一社当たり30分から60分の設定を提案しています。

例えば、

①アフターサービス調査や植栽・清掃・鉄部塗装など、特定の分野に絞った比較検討は
 45分(40分+5分の休憩 兼業者の入れ替え・参加者への資料配布・プロジェクター準備)

 

②管理会社の変更や大規模修繕工事など、管理組合としての事業規模や住民との接点が大きい分野の比較検討は、
60分(55分+5分)
を基本とし、あとは個別事情に応じて、①でも短縮や延長を、②でも短縮することもあります。
②で60分を超えた提案をしたことはありません。
我々が時間を提案するときに意識するのは、「理事役員や一般住民(コンペが公開制の場合)の理解度や知識度・関心度や、全体時間の中で『なるべく多くの方が最後まで飽きずに主体性を持って選んでいただけるか』」です。

 

その意味で、業者やサービス選定(コンペ)への参加者のほとんどが、理事を2年以上経験している方々や、修繕委員会のような『専門知識や関心を高く持っている方々の集まり』でしたら、一社当たりの時間は長めに設定することが考えられます。

 

この場合、参加者が各社からのヒアリングで判断したい項目は、

・業務(サービス)の詳細
・技術力(詳しさ)
・論理性(理屈が破綻していないか)
であることが多いです。

営業マンや上席からの挨拶や会社説明・実績を延々とされるよりも、早く本題に入ってもらいたいのが、目の肥えた参加者の求めるところでしょう。

複数社から絞り込んだ1社を再度招いてヒアリングする場合も、上記の観点でヒアリングの場を提供します。

 

一方で、参加者のほとんどが理事1年目で、まだまだ受け身であるような理事会の場合、一社当たりの時間を短くし、参加者の頭に入る情報量をコンパクトにして、参加者の頭がクリアな状態で比較できるように提案します。

 

この場合、参加者が各社からのヒアリングで判断できる項目は、
・サービスの概略(全体像)
・強み(特徴)
・説明のわかりやすさ
・誠実さ
・実際の担当者の顔(が見えるか)…営業マンは仕事をとったら終わりですから…

であることが多いです。

マニアックな技術説明を長々とされるよりは、これらの項目をバランスよく説明受けたほうが、参加者の判断が迷いづらくなるので良いです。

 

なお、複数社を比較検討する場合、あらかじめ会社の経歴や経営状態などの基本条件を満たしている業者を選抜しておくことで「変な業者を選ぶ」リスクを未然に回避し、本題のヒアリングに集中できます。

 

また、特に理事1年目の方が多い理事会や、一般の区分所有者が任意で参加できるよう公開コンペとする場合、あらかじめ「選定における判断基準」を用意しておくことをお勧めしています。

前後の背景や詳細を知らない方が多ければ多いほど、「規模・売上・歴史・実績」で安易に選定してしまう傾向が強くなりますが、これは比較検討において本質的ではありません。

「規模・売上・歴史・実績」で比較するなら、ヒアリングに呼ぶ前に落選させるべきです。

例えば管理会社の選定であれば、あらかじめ参加者に対し、

・個別具体的な提案の内容と実現性
・現状の課題提起に対する回答のレベル
・共通質問に対する回答のレベル
・ヒアリングに参加したメンバー間のチームワーク(組織力が見えます)
・担当予定者やその上席の受け答え(レベルや上下関係が見えます)
・受注したいというモチベーション(伝わるものです)
・報酬(ただ安いのが良いのか、上述の選定基準を満たせば多少高くても良いのかを決めておく)

これらの項目を判断基準として比較して欲しいことを、コンペの前にお願いし、同じベクトルで選定するべきです。

そうでないと「規模・売上・歴史・実績」で選ぶ人が増えてしまいます。

大切なことは、

マンション管理への理解や知識・経験が少なく、関心もそれほど高くない 多くの理事の皆さんへ、飽きさせずに興味を持ってもらいながら、共通のものさし(選定基準)を持ってヒアリングに臨むことです。

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