マンション管理コンサルタントの深山です。
神奈川県内の総戸数500戸の大規模マンション。
理事会の任期が2年で、総会で半数ずつが入れ替わる制度に変更して2年目。
先週末の理事会は新年度2回目ですが、当社がファシリテーターを兼ねて理事会の司会進行をさせていただき、1年目・2年目の理事の皆さんがお互いに活発な意見を交わして、短時間で中身の濃い議論ができました。
そして理事会が終わった頃にデリバリーの軽食が届き、昼食を取りながら雑談をかねたコミュニケーションが取られ、「また来月~」と気持ちよく解散しました。
当社が理事会顧問契約を締結し、初めて理事会へ参加した4年前。
午前9時にスタートした理事会は、なんと17時まで続き、その間の議論はほとんど後ろ向きかまとまらずで、これはすごいところへ来たなぁ、とびっくりしたのが昔話のようです。
理事VS管理組合のような雰囲気で、確かに管理会社の対応には落ち度があった部分はありましたが、一時が万事、、、みたいな決め付けの雰囲気で、管理会社からの良い提案もすべて疑われ、揚げ足を取られ、およそ信頼関係とはかけ離れた状態でした。
また、理事同士の信頼関係もいまひとつで、ひとつの課題に対してなかなか合意点が見出せず、人によっては感情的になり、人によってはだんまりを決め込んで、チームワークといったものがほとんどない状態でした。
個々に話をすると、皆さんとても素敵な方で、「マンションを良くしたい」「気持ちよく住みたい」というのですが、一堂に会すると険悪なムードになってしまっていました。
集団の心理が悪いほうへ作用している典型例のような理事会でした。
議長役である理事長もどうして良いかわからず、非常に困っておられました。
本来、理事会の場は、
「将来うちのマンションはこうありたいよね」
「どうやったら住み心地が良くなるだろうか」
「コミュニティを盛り上げたいよね」
「どうせなら自分の部屋が買った時より高く売れるようにしたいよね」
といった、先(将来)を語りあえるべきであるところ、目の前の課題に負われ、仲間同士の合意も満足にできず、大規模マンションゆえの機能不全寸前といった感じでした。
しかし当時、総会の日で理事の任期が終わりお別れする時に
「何とかマンションを良くして欲しい。理事会が回るようにして欲しい」とタスキを託してくださった理事さんたちがいて、細い糸を何とか切らさずに改善を続けてきました。
そして、今日の理事会の姿になりました。
もし、3~4年前にタスキを渡してくれた元理事さん方がここ1年の理事会を覗きにきたら、
「えっ!こんなに参加人数が多くて(全員参加)、皆笑顔で明るくて、管理会社や管理士も含め議論が活発で建設的に決議される、、、これが同じ理事会!?」
と驚くこと、間違いありません。
昔と今を知る現役理事さんだって、管理会社の担当だって、そして私だって、昔を振り返ると信じられないよねって話になるくらいです。
就任1年目の理事さん達が、「いままで総会に一度も出たことがなく、今回理事の順番が回ってきて、いやいやでしたけれど、とても話しやすい雰囲気で、当初の理事会の印象とはぜんぜん違っていました。せっかく回ってきた順番だし、自分のできることをやって貢献しようと思います。」
と話してくださるのを聞いて、あぁ数年前の心ある理事さんの想いが、今につながっている。先輩理事がまいた種を後輩理事が育て、これから果実を回収する、そんな時期に来ているんだな、、、と感慨深いものがあります。
うれしかったのは、私が1年目の理事さん達に、過去の理事会は大変だったこと・先輩理事の奮闘があって今日の状態になっていることなどを語り部のようにお話した時、ある新理事さんが「管理組合って、向かうべき方向がみえないので、スローガンのようなものが欲しいですよね」と意見を出してくれて、他の理事さんが「そうそう」と大きく頷いていたときです。
私が常々提唱している
「管理組合にも理念やビジョンを」
に気づいている方が、しかも1年目の理事さんにいて、回りも大きく同意しているのです。
今の状態を将来に向けてぶれないようにするために、今年に理念・ビジョンを制定する提案を出すことになりそうです。こういう形ないものにお客様が価値を見出してくれて、そこに力を発揮できるのは、コンサルタント冥利に尽きます。
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《マンション管理の良し悪しが「住み心地」と「不動産価値」に影響を与える時代を創る》
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