もうずっと前から[業界の常識は世間の非常識]だったのですが、週刊ダイヤモンドがやってくれました。
私は新卒で大手マンション仲介業者へ就職し、たくさんのマンション仲介を手がけてきたので、この話は良くわかります。また現役の不動産仲介業者はドキッとするでしょう。
マンションの売主(個人ユーザー)から部屋の売却依頼を受けた不動産仲介業者は、売却を預かったマンションの情報(売り情報)を、一定期間内に多くの不動産業者が加盟するシステムへ公開するため登録しなければなりません。
ここはルールに則って、各社ともちゃんと公開しています。
ところが、もし売主が不動産仲介業者との間で仲介を依頼する契約が[専任媒介契約]や[専属専任媒介契約]の場合、買いたい客を抱えている不動産業者が、売主側の不動業者へ『お部屋を内件したい』と依頼すると
『当社のお客様で契約交渉中』などと適当なウソをついて、はじいてしまうのです。
物件の情報が公開されていても、紹介が止められては意味がありません。
では、なぜそうするのか?
売主側の不動産業者は、売主は自社で『押さえている』ため、買主を自社のお客様で用意できれば、売主と買主の両方から仲介手数料がもらえる、いわゆる『両手』商売ができるのです。2倍の仲介手数料は大きいです。
そんな不正行為は見事に書いたのが、週刊ダイヤモンドです。
これからマンションを売却しようとしている方、一社へ盲目的に依存する[専任媒介契約]ではなく、複数の不動産仲介業者へ同条件で依頼できる[一般媒介]で契約し、仲介業者同士を競わせましょう。
^^^^ダイヤモンドオンライン 2015年4月13日記事より抜粋 ^^^^^^^^^^^
大手不動産が不正行為か 流出する“爆弾データ”の衝撃
(前略)
不動産仲介各社による「物件の囲い込み」とはどういう行為なのか。それを知るためには、不動産の仲介手数料の仕組みを知る必要がある。
不動産仲介会社の収入の大部分は、物件の売り主もしくは買い主からの仲介手数料である。例えば成約価格が400万円超の場合、仲介手数料の上限は「成約価格の3%+6万円」となる。
そこで多くの会社では、不動産仲介会社が1社で売り主と買い主の仲介を行う、いわゆる「両手仲介」(図参照)を狙うことになる。仲介手数料は売り主と買い主から得られるため、6%+12万円と2倍に増えるからだ。
両手仲介自体は正しい商取引である。だが、問題なのは、売り主と媒介契約を結んでいる不動産仲介会社が、他社から物件照会があっても「すでに他の客と交渉中」などと偽って物件を渡さず、両手取引を狙うケースである。これが物件の囲い込みと呼ばれる行為だ。
不動産仲介会社にとっては、売り主の物件がなかなか売れなくても自社の在庫コストが増えるわけではない。それ故、囲い込みで時間をかけてでも両手仲介を行った方がもうけは大きい。
一方で割を食うのは、売り主である。他社が抱える買い主に対して売れたはずの機会を逃し、いつまでも売れず、結局、値下げせざるを得ないケースも少なくない。
そもそも、物件売却の媒介契約をした不動産仲介会社が、故意に情報を隠したり独占することは宅地建物取引業法で禁じられており、「発覚した場合は改善の指示処分を下す。それにも従わない場合、業務停止処分もあり得る」(国土交通省不動産業課)。
囲い込みが表面化しない理由は二つある。
一つ目は、囲い込みが行われても売り主がその事実を知ることはできないため、被害が表面化しづらいこと。
二つ目は、不動産仲介会社の間でも囲い込みの事実を見極めるのが難しいということだ。
買い主の依頼で物件照会したA社に対し、売り主と媒介契約しているB社の担当者が「すでに他の客と交渉中です」と言えば、A社がその真偽を確かめるのは非常に困難である。
(略)
では、具体的にどのようにして囲い込むのか。
例えば、三井不動産リアルティの神奈川県の某支店では以下のようなやりとりがなされている。
不動産仲介会社役「物件確認なんですが、○○○(物件名)なんですけど……」
支店担当者「あ~、話入ってます(=すでに交渉中です)」
それから16分後、今度は一般客のふりをして同店に電話してのやりとりは以下の通りだ。
一般客役「ホームページで見たんですが、○○○(物件名)って今は空いているでしょうか? 」
支店担当者「ご紹介可能です」
一般客役「あ、本当ですか」
支店担当者「まだ内覧した人は一人もいないので、今週末から内覧可能です」
(略)
支店の担当者が紹介拒否する方法で多いのは、「すでに商談中」や「契約済み」といったパターンだが、その他にも「売り主が忙しい」「契約確定したのでホームページから削除するところだった」など、さまざまなパターンがある。
それ故、調査レポートでは「(囲い込みの対応が)非常に手慣れている印象を受け、囲い込み行為が、担当者レベルのみではなく、店舗全体での対応であり、日常的に行われていることが推測されます」と結論付けている。
(略)
監督官庁である国土交通省は、不正の実態について、見て見ぬふりをやめ、本格的な調査を行うべきである。さらに厳罰化も含めた対応を取らない限り、消費者利益を損ねる業界の悪習がなくなりはしないだろう。
^^^ここまで^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^