東京都区部の住宅地に佇む、約100戸のマンション。
昨年8月に、顧問契約を採用していただき、大きな課題の解決に向けて、
理事の皆さんとマンション管理士(私ではありません。頼れる仲間です)とで
突っ走ってきました。管理会社の協力もありました。
約6ヶ月をかけて、1月下旬に臨時総会。私がピンチヒッターで同席。
100世帯の規模の臨時総会で10以上の議案上程はなかなかありません。
もちろん主催する理事会側としては、各議案について、
あらゆる方向から検討を加え、複数の選択肢から最善と思うものを
チョイスして提案していますので、自信を持って臨んでいます。
で、いざ総会が始まり、「これは反対もなく可決されるよね」と思っていた、
裏口ドアの改修提案。開き戸タイプを引き戸タイプに替える、という議案です。
自転車で出かける/帰宅する方の多くが、
・開き戸では開閉しにくい
・バシャンっと勢いよく大きな音を立てて閉まるので周辺住戸が迷惑する
・逆に静かに閉まるように設定すると、ちゃんと閉まらない(ロックがかからない)のでセキュリティが不安
といった不都合の声に対応した「つもり」の、引き戸提案でした。
理事長がこの議案の説明を終え、質問を求めたところ、声はなし。
頃合いを見計らって、「特に質問もないようですので、そろそろ採決を、、、」
と言いかけた、
その時。
後ろのほうで、女性の小さな意声が聞こえます。
「発言しても良いのかしら」と遠慮がちに、
あの、、、
もう可決なので無理なのでしょうけれど、自動ドアにはならないのでしょうか、、、
と。
せっかく勇気を出して発言してくださったので、私が
「差し支えなければ、自動が良い理由をお聞かせいただけませんか?」
と聞くと、
・自転車を使って出入りするときに、開き戸でも引き戸でも、片方でハンドルを持ちながらドアを開ける苦労は変わりないこと
・買い物の荷物や子供の乗せた自転車では出入りが一層大変で、一度スタンドを立てて停めなければならないこと
と言った理由から、せっかくお金をかけるなら自動ドアにならないか?という趣旨でした。
すると、その意見に続けて別の参加者が賛成の声を上げ、他の方も次々と発言され、議事の場が一気に活性化しました。
・実は裏口から出入りする居住者は多い
・最寄り駅の改札口からは裏口のほうが近道である
・(自動ドア化されている)エントランスから自転車を押して出入りするのは気が引ける
といった声も上がり、総会参加者の多くが「せっかくなら自動化が検討できれば、、、」といった雰囲気になりました。
実は理事の皆さんも、理事会での議論ときは「裏口も自動ドア化が理想だよね」という話はしていました。
ただ、他にも改修工事やその他の支出、当社へ支払うコンサルタント報酬など、さまざまな支出を伴う議案が多かったため、
「それほど需要の多くないであろう裏口のドアは手動のままで我慢しよう」
というやり取りがあり、「手動の引き戸提案」だったのです。
ある理事が、上述の経緯を隠さずに説明すると、参加者からは意外な反応が。
・お金の節約は大切で、理事会の考えや思いには感謝しているが、投資すべき所にはお金をかけても良いのではないか
・管理費の削減などで節約できているのだから、住み心地が良くなることにぜひ使ってほしい
・自動ドア化すれば資産価値があがるのではないか
ここでまた「建設的な盛り上がり」が生まれました。
そこで理事長と理事と私とで、参加者を前に「どうする?」と言う話になり、
最終的には、
・裏口の(手動)引き戸化提案は、議長一任や議決権行使での賛成が多いが、採決は取らずに議案を取り下げる
・3ヶ月後に予定している総会に向けて、いま一度自動ドア化に向けて検討する
という決断を下し、参加者から多くの拍手をいただきました。
総会で、提案した側も参加した側もなく、ひとつになった総会でした。
名付けて[あったかいんだからぁ~総会]です。
(センス無し)
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《管理組合の良し悪しが「住み心地」と「不動産価値」に影響を与える時代を創る》
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