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2018.03.20

マンション大規模修繕と「春工事・秋工事」とは?

(2018年3月20日更新)
2014-07-25-18-49-01
◆大規模修繕工事のチャンスは年2回!?

東京都内北部の大規模マンションで、1回目の大規模修繕工事を検討するにあたり、コンサルタントのお仕事を頂き、その下打ち合わせを行いました。

区分所有者から立候補や推薦で選ばれた修繕委員会のメンバーから、大規模修繕工事の計画から工事に至るスケジュールの相談があり、手帳にざっくりとしたイメージを書いてみました。

その時、ある委員から、

「大規模修繕工事って、春か秋の2回しかできないの?」

と質問がありました。

マンション修繕業界では、大規模修繕工事の実施時期を

・春(2月頃から6月頃まで)
・秋(8月頃から12月頃まで)

のいずれかの時期に行うのが望ましい、と説明(営業)しています。

私がマンション管理業界を志した2000年ころからすでに、

「大規模修繕工事は『春工事』か『秋工事』といわれてきました。
正確に言うと「教育」されてきました。

 

当社ではいま、

・実施時期はそれほど気にしなくて良い
・むしろ気にしないほうが有利になることもある

とアドバイスしています。

  
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◆業界人が春工事と秋工事を提案する理由を考えてみる

先輩や技術者から教えられた理由は、

・お盆(8月)と年末年始(12月末~1月上旬)に足場(建物回りに巡らす、作業員が作業したり移動するための骨組み)があると、留守宅が増えるこの期間に防犯上のリスクが高くなる
・お盆と年末年始のころは、暑過ぎて(寒すぎて)塗料が適切に定着しづらい
・お盆と年末年始のころにエアコンが使えないと、居住者の生活に支障を来たす
・新年(初日の出)を、足場やシートの被さっていないバルコニーから拝みたい、という居住者がいる

このような理由で、春か秋に工事を実施すべき、というものです。

 

でも、どうでしょう?

・足場があることによる防犯上のリスク
→すでに夏季や年末年始に集中して留守にする時代は終わりました。休暇は分散され、それほど帰省率は高まっていません。むしろ、居住者(世帯主)が60歳にもなれば、盆暮には子供たちがマンションに戻ってくるのです。
→現在においては、機器を使った足場の防犯体制も充実しています。

・お盆(8月)と年末年始(12月末~1月上旬)は暑過ぎて(寒すぎて)塗料が定着しづらい
→技術の進歩により、劣悪な環境に耐えうる塗料が一般化しています。また、そもそも地球環境が変わり(温暖化)、6~7月でも真夏日はありますし、11月でも2月でも冷え込む日はありますよね。

・お盆(8月)と年末年始(12月末~1月上旬)にエアコンが使えないと生活に支障を来たす
→夏場のエアコンなしは確かに厳しいですが、上述のように6月から3月くらいまで、エアコンが必要な日はいくらでもあります。

また、そもそも大規模マンションやタワーマンションでは、春・秋工事の範囲ではとても工事が終わりません。半年~1年以上という工期ですから、春とか秋などと言っていられないのです。

理由を一つずつ考えると、『春工事』『秋工事』と大規模修繕工事の時期を固定化する意味合いはだいぶ薄れてきていると思いませんか?

 

◆年2回の工事スタートは施工業者も得しない!?

修繕工事の施工業者やその下請け業者、孫請け業者には、それぞれ現場代理人や職人を多く抱えています。
会社がこれらスタッフを安定的に抱えるなら、毎月安定した給与を支払う必要があります。

なのに、工事時期を「春・秋」と2つに絞ってしまうと、仕事の機会が年2回に固定化され、それ以外の期間は『遊んでしまう』可能性が高くなります。

例えば足場の専門業者は、大規模修繕工事の「はじめ」と「最後」に組み立て/解体の必要がありますが、工事期間中には仕事がありません。
すると、春工事の頭と終わり、秋工事の頭と終わり以外には仕事がない、ということになります。

もし工事時期が分散されれれば、職人や材料をバランス良く融通することで仕事が増え、売上が上がるのです。
現にいくつかの施工業者にヒアリングしたところ、

・工事時期がずれる現場があるとありがたい
・ずれた工事期間であれば腕の良い職人を手配しやすい
・見積金額も安くできる

と共通した回答でした。

◆春工事と秋工事にとらわれない大規模修繕工事を

以上のことから、大規模修繕工事の実施時期については、なんとなくの慣習に縛られることなく、区分所有者間の合意形成が図ることができ、費用対効果が最大化される時期を狙って行うことをお勧めします。
 
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