2014.11.25~メルマガ第70号~
【今号のお題:マンション大規模修繕を成功に導く9か条 その1】
マンション大規模修繕工事の流れを理解しましょう②
まずは基本のキホン、大規模修繕の全体の流れをつかみましょう。
例えとして「人間が自分の体を医者に見てもらうシーン」と重ね合わせながらお伝えします。
なお、ここでは「50世帯程度のマンション」を想定しています。
2.建物・設備の劣化診断・調査(2~3ヶ月)
大規模修繕工事の全体像を管理組合(理事会・専門委員会)と設計監理者とで共有した後、
いよいよ本格的な修繕工事の計画に入ります。
ここでは実際に設計監理者による建物・設備の調査(劣化診断)を行います。
人間で言えば「人間ドック」のようなものです。
目視による調査のほか、一部機械を使った強度試験もあります。
また設計監理者が全世帯に立ち入ることが難しいバルコニーの劣化状況については、
居住者へアンケートを実施し、
あわせてサンプルとして一定数のバルコニーへ立ち入り調査するのが一般的です。
なお、1回目の大規模修繕工事の時期は、配管などの設備面はまだまだ劣化時期に来ておらず、
もっぱら外壁や屋上防水・廊下階段といった外装部分が対象となります。
2回目以降になると設備の更生(延命)や更新(交換)など検討事項が増え、
予算規模も大きくなります。
設計監理者はこの建物調査・劣化診断の結果から、
具体的な大規模修繕工事の時期や工事すべき箇所・その範囲、
今回は手を加えなくても良い箇所などを報告書の形にしてまとめ、管理組合へ報告します。
人間で言えば手術を要する箇所・薬で済む箇所・経過観察すべき箇所などの報告がなされるようなものです。
ここでようやく建物・設備の現状理解ができるようになります。
3.大規模修繕工事の設計(仕様の作成、2~3ヶ月)
設計監理者からの建物調査(劣化診断)報告により、
具体的にどのような修繕工事を実施すべきか検討することになります。
人間で言えば、具体的な手術の方法や予算の設計といったところでしょうか。
なお、ひとくちに大規模修繕工事といっても、
材料や工法により耐久性や美観など費用対効果が異なります。
設計監理者はプロジェクトの一番初めに管理組合と検討した全体像から、
適切な内容の修繕工事を模索していきます。
具体的な修繕工事範囲を数量として落とし込み、工法を検討、工事仕様が確定されます。
ここでようやく具体的な工事内容が「修繕設計」として明らかになります。
医者による熟考と家族との話し合いのもとに治療方法を決めるのと似ていますよね。
4.施工業者(ゼネコン)の選定(2~3ヶ月)
前述の修繕設計が完成すると、いよいよ施工業者を選定することになります。
いくら精度の高い修繕設計が出来上がっても、
実際の腕が悪ければ大規模修繕工事は失敗に終わる可能性が高くなります。
また修繕工事の腕が良くても工事期間中の居住者対応が悪ければトラブルが増えるだけでなく、
悪印象かつ不完全燃焼で修繕工事を終えざるを得なくなります。
さらには修繕工事費が高くなれば組合員の金銭負担が増えることになります。
リーズナブルで品質の良い施工業者選びは、例えるなら病院選びと言えましょう。
なお、人間誰しも「産まれた病院で一生健康のお世話になることはない」のと同じように、
新築時の施工業者(ゼネコン)へ大規模修繕工事をお願いしなければならない、という理屈はありませんし、
ゼネコンが発注先として常に相応しいということもありません。
費用対効果の最大となる施工業者をいかにして選ぶかが重要となります。
5.大規模修繕工事(本工事、3~4ヶ月)
施工業者を選定したら、総会で居住者の賛成を経て、
いよいよ大規模修繕工事を実施します。
施工業者による工事前の説明会において、工事期間中の注意事項
(バルコニーの利用やエアコンの使用制限、各種お知らせ方法や連絡先など)の説明がなされた後、
建物の周囲に足場(職人が作業中に移動する骨組み)が組み立てられ、
さらにシートを覆いかぶせ、修繕工事がスタートします。
この工事期間中の設計監理者の役目は、施工業者の現場代理人への指導を通じ、
工事品質や予算の進捗をチェックすることがメインになります。
※アフターサービス検査(工事完成後。最長で10年)
大規模修繕工事が完了検査を経て無事に完成(竣工と言います)すると、修繕工事そのものは終了します。
しかし完成された工事内容については最長で10年間のアフターサービス補修保証が付きます。
大規模修繕工事の全体像をつかむことができましたでしょうか?
(つづく)
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以上「18年ぶりの大学アメフト観戦で久しぶりに心熱くなった」深山州でした!