2015.7.9~メルマガ第85号~
【今号のお題:マンション大規模修繕を成功に導く9か条 その11】
◆大規模修繕工事における管理組合の課題とは?その②
日常の理事会運営ですら一枚岩になるのが難しいマンション管理組合の組織力。
この組織力の弱さが大規模修繕工事において様々な問題やトラブルを抱えることになります。
大規模修繕工事の成否は設計監理者や施工業者の良し悪しの前に、発注者である管理組合の団結力(合意形成)にかかっている、と言えます。
「トラブルになりやすい」代表的なケース、その2を見てみます。
○管理組合トラブル事例2:理事会と専門委員会との確執
中~大規模マンションの多く、小規模マンションの一部では、通常の理事会運営とは別に大規模修繕工事の計画段階から完成(竣工)までの諮問機関として専門委員会(修繕委員会)を立ち上げるケースが多くなっています。
・大規模修繕工事のプロジェクトが入ると管理組合の業務量が多く、理事会役員だけでは対処しきれない
・修繕に関する専門知識のない理事会役員だけではどのように進めたらよいかわからない
というのが主な理由です。
修繕委員会は、皆様のマンションにある管理規約(ルールブック)によれば、「理事会の諮問機関」つまり理事会の下部組織として組成することができ、「理事会へ具申する」つまり提案はできるけれど決断は理事会(最終的には総会)ということで、修繕委員会は理事会のよきアドバイザーといった役回りです。
ところが、この修繕委員会が理事会のアドバイザーとして機能しておらず、管理組合として一枚岩になっていないところが散見されます。
それどころか、修繕委員会の設置がマンション内の内紛にまで発展してしまうケースが結構あります。
1)理事会が修繕委員会の活動を支援しない(認めない)ケース
大規模修繕工事に問題意識を持った居住者が立ち上がり、理事会の知らないところで先に委員会組織を立ち上げてしまうケースです。事前の根回しが足りないため、理事会としては「何の相談もなく立ち上がったのだから(たとえ後から総会で認められたとしても)認めたくない」という心理になります。
自発的に立ち上がった組織のメンバーは「モノを言う」傾向にあります。理事会としては委員会の立ち上げを依頼していない以上、素直に聞く耳を持ちにくいものです。
せっかくの委員会も、立ち上げ方が悪いと理事会との連携が取れなくなりますし、せっかくの意見も採用されなくなってしまい、フラストレーションが溜まることになります。
修繕委員会はあくまで理事会の諮問機関(下部組織)なだけに、理事会からの支持を得て、信頼された状態で立ち上げなければ、大規模修繕工事の成功のために立ち上がったことが無駄になりますので注意が必要です。
2)修繕委員会が理事会より強くなり、実質的な権限を持ってしまうケース
上記1)とは逆で、本来は理事会の諮問機関(下部組織)であるはずの修繕委員会が、理事会より強くなってしまうケースです。
・居住者の多くが管理組合の運営に対して無関心
・委員会のメンバーに大規模修繕工事に関する専門知識や経験を持つ人がいる
・委員会が理事会の任期より長期間に亘り継続されている場合
に起こりやすいケースです。
大規模修繕工事に関する意思決定はすべて修繕委員会主導となり、理事会は意思を持たない承認機関となり、実質的な傀儡政権となってしまいます。
初めは住民の多くから依頼されて組成した委員会だけに、後から「大規模修繕は終了したので解散して欲しい」とは言いづらくなるものです。その結果、大規模修繕工事が終わっても委員会は存続し続け、修繕委員会が管理組合の中で力を持ち始めるようになります。日常の小さな修繕工事についても見積もりや工事業者選定に修繕委員会の「許可」が必要となります。
ケース1)も2)も、委員会立ち上げの際に明確なルール(理事会の諮問機関であること、大規模修繕工事の完成(竣工)とともに解散すること、等)を作っておけば良いのですが、そこまで気が回らずに漠然と委員会を立ち上げると、後々で面倒なことになるケースがありますので注意が必要です。
また、修繕委員の中に業界経験や知識を持っている方がいると、最悪の場合、業者との癒着が生まれます。一回おいしい経験をすると、委員会から離れられなくなるので、要注意です。
いかがでしょうか?マンション管理組合の運営の良し悪しは「合意形成がうまくいっているかどうか」にかかっています。
特に大規模修繕工事のような大きな支出を伴うイベントにおいては、合意形成に加え「透明性の確保」も必要になってきます。
長期間に亘り、また多額の修繕積立金を支出する大規模修繕工事。マンションにとっての一大事業を成功させるために、上記のようなケースは避けて頂きたいところです。
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以上「福岡出張で明太子と透明なイカに舌鼓」の深山州でした!