2013.6.25~メルマガ第37号~
【今回のお題:管理費を下げたい その前に8 『先輩への気配りを忘れずに』】
これまでのコラムでは、
・マンション管理組合における合意形成のスタートは
「何が問題で」「どうすべきなのか」のストーリー作りが大切
・説明は論理的な内容だけでなく、感情的な訴えも必要
・説明内容もさることながら『誰が説明するか』も大切
・広報は『インパクトのあるものを』『こまめに』『連載もので』
・住民へのアンケートにも2つの手法がある
・アンケート手法によりメリットとリスクがある
を書きました。
○先輩への気配りを忘れずに
先輩って誰でしょうか?
先輩とは、
「過去の理事会役員」
を言います。
特に熱心に活動されていた最近の理事会メンバー(理事長)を指して、
「先輩」と表現しています。
例えばあなたが理事長になって、管理会社の対応に大きな不満があったとします。
また管理会社に支払っている管理委託料がサービス内容に見合っていないとします。
今期理事会では、ぜひ管理会社の対応を改善してもらうべく交渉したい。
また委託料の減額を相談したい。
どうしても折り合いが付かない場合、他の管理会社と比較検討して変更も視野に入れたい
と、このような方針を立ててプロジェクトを進めます。
プロジェクトを推進する過程で、
「なぜ前期までの理事会は改善を検討しなかったのだろう」
という疑問を持つ人も少なくありません。
自分が真剣に向き合えば向きあうほどに、
「毎年の理事会が真剣に取り組んでいればこんなことにはならなかったのに」
「今までの理事長が無関心だったのも問題だ」
という想いがもたげてくることもあるでしょう。
マンション管理に関心を持ち、自分の住まいに対して真剣に向き合えば向き合うほどに、
他の「動かなかった」理事会役員に対して反発を覚える方もいるでしょう。
お気持ちはよくわかります。
しかし、その気持ちは合意形成の上で大きなマイナスとなります。
つまり、過去の先輩理事さんは、管理会社の対応や価格に満足していたかもしれません。
それを、急に方向転換しようとするわけですから、
正しいことを行うにしても、それを正しいと思っていない可能性のある理事さん達に
「前もって理解してもらう」必要があります。
いわゆる根回し、というものです。
日本独特の文化と言われている、この「根回し」は、小さなムラ社会である
マンション管理組合にはとても重要な作業です。
「皆さんの代では管理会社の対応は良かったかもしれないが、今は良くない」
「どうも管理費を調べてみると割高であることがわかってきた」
ということを丁寧に説明する必要があります。
このプロセスを省いていきなり全住民へぶちまけると、
大きな反発を受けることになります。
特に築年数が経過したマンションで、過去の理事さんは年配者、
自分は若手の理事長、と言った場合には、この根回しは特に重要です。
「自分達が満足してきた管理会社や委託料を若者がひっくり返そうとしている」
といったレッテルを貼られると、良かれと思って進めたものが全否定されることになりかねません。
何を隠そう、私も自宅マンションで上記のプロセスを怠ったため、
大きな反感を買い失敗しました。
また一方で…、
過去の先輩理事さんが、問題意識を持ちながらもなかなか動けなかったのかもしれません。
或いは過去の先輩理事さんは、コスト意識がなかったのかも知れません。
このような過去の先輩理事さんは、もしかするとあなたのドラスティックな動きに対して
嫉妬(自分達ができなかったことを達成しようとしている)を覚えるかもしれません。
嫉妬も大きな反発の力となります。
本質的に正しいかどうかと言う事はさておき、「自分達が理事の時に何もやってこなかったこと」
に対するやっかみ、というのは、ムラ社会では良くあることです。
そこで考え方を変える必要があります。
過去の理事会がどのような活動をしてきたか(してこなかったか)はさておき、
少なくとも今日まで管理組合が運営されて自分にバトンが渡ってきた、ということは、
それまでの歴史の積み重ねの上で順番が回ってきた、という気持ちを持つことがとても重要です。
あなたは過去からタスキを受け継いで理事長に就任している以上、
過去の先輩方に敬意を表しながら、その延長の気持ちで改善・改良・改革を進める必要があります。
このような考え方を持てば、
根回しもスムーズに行うことができ、いざ総会で提案するときに
過去の理事経験者からも多くの賛同を得ることができるでしょう。
「先輩への気配りを大切に」とは
合意形成を諮る上でとても大切なことなのですね。
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次回以降のメルマガでは、合意形成を促進するために
38号 総会の出欠票は「取りにいくもの」
39号 議案の中身も説明者次第
について書いていきます。
・論点整理から合意形成を支援して欲しい!
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と言う方は気軽にご相談下さい。
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以上、息子に「あそんで!あそんで!あそんで!!」と毎日せがまれ困っている、深山州でした!