外から見えるベランダ、バルコニーを見る事でそのマンションを読み解く事ができます。
今回はそのポイントをお教えしたいと思います!
隣との仕切り板(パーテーション)の間にガラスのサッシが1箇所しかないものはワンルームマンションです。
はじめからワンルームマンションを購入するつもりなら良いのですが、ファミリータイプ(2~4LDK)を探す場合、ワンルームタイプと混在するマンションはあまりお勧めしません。
ワンルームマンションは多くの場合、区分所有者が投資目的で購入し、自分では居住せず賃貸に出すことになります。
賃借人はマンション管理組合の運営や美観の維持などに関心が薄いため、専有部分だけでなく共用部分を乱暴に使用する可能性が高くなります。
また学生や日本の文化を知らない外国人などが入居すると、夜中の騒ぎや多人数の出入り、宗教の祈り(※)や音楽などの音・振動が発生するため、ファミリー所有者とトラブルになることが多々あります。
(※)宗教そのものの否定ではなく、生活になじみのない物音がすることに注意したい、という意味です。
しばらく使わないようなものや屋外に置いておきたいような物品を専有部分に収納しきれず、バルコニーに大型の物置を設置しその中へ収納している住戸をたまに見かけることがあります。
小型で、かつ手すり位までの高さで、キャスターの付いた可動式の物置であれば外から見えにくいですが、大型になるとマンションのバルコニー群の中で異彩を放つことになります。
さて、マンションにおいてバルコニーは、各区分所有者が所有する「専有部分」(お部屋)にくっ付いているため、専有部分と同じで所有権に思えてしまいますが、法律上は「共用部分」(管理組合全体の所有物)となります。
従って、バルコニーは自分しか使えなくても物品を勝手に設置してはいけないことになっています。
なお、バルコニーを所有権にしなかった理由は、
・いざと言うときの「避難経路」としての役割があるため(隣住戸との仕切り板(パーテーション)を破って逃げるのに、板の向こう側に物置がおいてあると逃げられなくなる。)
・マンション全体の統一感(美観)を保つため
と考えられています。
大型物置を設置している住戸の多く存在するマンションを見ると、
と言った傾向を読み取ることが可能です。
※海に近いマンションではサーフボードがバルコニーに立てかけてあるのを見かけます。風物詩のようで微笑ましい一方で、ルールの確認をしておいたほうが良さそうです。
ヨーロッパの建物にはバルコニーのないところが多く、路地裏に建つアパートの窓から道路を挟んで前のお宅の窓に紐をかけ洗濯物を干したりしています。
日本人からみると生活観のある素敵な景色にも見えます。
さて日本ではどうでしょうか?
割と下町の(超高層を除く)マンションが並ぶ地域では、晴れた日になるとバルコニーから一斉に布団や衣服が干されます。
ある意味「日本の都会の風景」として定着しているのかもしれません。
一昔前のマンションですと、天井から吊り下げ式の物干し竿架けがついており、竿には多くの洗濯物が干されています。また格子状の手すりがバルコニーの中を丸見えにしています。
一方、平成に入って分譲されたマンションでは、バルコニー壁がコンクリートになり、壁の内側に(壁が陰になって外から見えないように)洗濯物を干すようになりました。
しかし、日本人特有と言いますか「布団をお天道様にしっかりと当てて干したい」と言う考えが根付いているため、特に布団や毛布をコンクリート壁にダラーンとかけて干している人も結構多いものです。
ここのポイントでは「ルール違反かどうか」を杓子定規に言うつもりはありません。ただ美観や美的センスをマンション購入のポイントに挙げる方なら、大事なチェックポイントになるでしょう。
一方、高級を謳い文句にするマンションや閑静な住宅街に佇む低層マンションでは、布団干しどころか洗濯物の姿も殆ど見かけません。
このようなマンションを購入し布団をバルコニー壁に垂れかけたら、管理組合からの指示を受けた管理人から即日苦情がくる、と思って間違いないでしょう。
バルコニーにあらかじめ花台が設置されていて、そこに四季折々の花を咲かせているお宅の多いマンションが稀にあります。
ヨーロッパの古い街並みでは当たり前の景色でも、日本のマンションではなかなかお目にかかれません。花台が無くても、下に落下しないよう配慮して花を綺麗に「魅せている」ところもあります。
花の手入れは結構大変で、しかも綺麗に咲かせる期間は短く、ちょくちょく購入する必要があります。
バルコニーから花が見える多いマンションからは、
といったことが推測できます。
一方、花や植物に熱心で周囲への配慮に欠けるお宅を隣住戸に持った場合、枯れた花や土が飛散したり水が階下へ落ち洗濯物が汚れるなど、ちょっとした居住者間のトラブルに発展する可能性があります。
また、時には花に蜂などの昆虫が植物に戯れるため、虫嫌いな方には注意が必要かもしれません。
カーテンのデザインやかけ方一つで、そのお宅の雰囲気を察することができます。
シックでおしゃれなカーテンを整然と閉めていると、きちんとした佇まいや清潔さ、高級感を想像させます。
また、室内の照明からも雰囲気を感じ取ることができます。
例えば、バルコニーに面した部屋に和室があると、どうしても真っ白な蛍光灯を使う家庭が多いでしょう。
昭和の年代に建てられた専有面積40~60㎡平均のマンションでは、バルコニーが(和室の)白いライトと(リビングの)ベージュのライトで入り混じり、照明が作る美観はありません。(各家庭の事情なので仕方ない部分です。)
しかし最近のマンションは和室の人気が下がっており洋室で構成された部屋が多く、真っ白な蛍光灯よりも暖色系の白熱灯(白熱色蛍光灯)を多い、バルコニーからベージュ色のやわらかい光が漏れ、安らぎやゆとり、そして不思議と高級感が感じられます。
夏の暑い日にサッシを開け放して、テレビの音や家族の笑い声などが聞こえるお宅は、割とオープン・開放的・庶民的といった印象を与えます。
その一方で、あなたがマンションを購入し、夏の夜に熱くて窓を開けると、パーテーションの向こうから夫婦喧嘩や犬の鳴き声、プロ野球中継の音声が聞こえてくる、、、という可能性もあり、静かに暮らしたい方には不向きかもしれません。
各部屋のバルコニー壁面に白・黒の円形アンテナが設置されているマンションを多く見かけます。BS・CS放送のパラボナアンテナです。
マンション共用部分の設備として、共聴(テレビ)設備があります。
一昔前まではVHF・UHFだけが用意されていれば問題なかったものですが、BSやCS、そして地上デジタル放送がスタートし、既設の共聴設備では対応できなくなっています。
場合により、各自が個別にアンテナを立てないとこれらの放送が見れなくなるため、仕方なくバルコニーに個別アンテナを立てている、というのが現状です。
閑静な住宅街に佇むマンションの場合、美観を重視する目的で使用細則にてバルコニーの使用方法を厳しく規定し、実際に運用しているところもあるので注意が必要です。