マンション管理士に依頼する際、多くの方が気になるのは「この人に任せて大丈夫だろうか」という点ではないでしょうか。
肩書や保有資格だけでは判断できないことは、士業やコンサル業あるあるです。
ここでは、現役で多数の管理組合をサポートしてきた経験を踏まえ、代表である私・深山州が、自ら信頼できるマンション管理士かどうかを見極める3つの視点をご紹介します。
管理士が第一に考えるべきは「管理組合全体の利益」です。
個々の区分所有者の要望や管理会社の事情も無視できませんが、最終的に判断基準とすべきは「組合全体としての利益を最大化できるかどうか」。
例えば、大規模修繕の仕様を決める場面を考えてみましょう。
ある特定の住戸だけが得をするような選択を押し通してしまえば、他の区分所有者からの不満を招き、将来的に全体の合意形成は難しくなります。
また、管理会社に過度な負担を押し付けるようなやり方では、一時的には組合に有利に見えるかもしれませんが、管理会社は、損しないよう帳尻を合わせなければならないので日常業務の品質低下に繋がります。
行き過ぎれば管理会社から契約を解除されるリスクもあります。その場合、新たな管理会社を探すのは容易ではなく、結果的に以前より高い報酬で契約せざるを得なくなることもあり、組合にとって大きな損失となりかねません。
「管理組合」「区分所有者」「管理会社」という三者はいずれも、マンションを円滑に運営するうえで欠かせない存在です。
どこか一方に偏れば、一時的にはメリットがあるように見えても、結局は不満や対立を生み、組合全体の運営を難しくしてしまいます。
だからこそ、それぞれの立場を尊重しながら、三者が納得できる落としどころを探ることが、長期的に信頼関係を築き、管理組合の利益を最大化することにつながるのです。
管理士が「三方よし=管理組合・区分所有者・管理会社のバランス」を意識して提案しているかどうか。
ここは信頼できるかを判断する一つの分かりやすいポイントです。
理事会役員の任期は1~2年。どうしても目の前の課題に意識が集中しがちです。
しかし、マンションの寿命は数十年にわたります。
そのため信頼できる管理士は、「今の理事会の決定が5年後10年後も筋が通るか」を常に意識します。
例えば、空き駐車場対策に伴う駐車場利用ルールの見直しについて、目先の対応として空き区画を埋めるために値下げして募集することは、一見合理的に思えます。
けれども、将来の修繕積立金の確保や利用者間の公平性を考えると、その選択が後に大きな不均衡を生むリスクがあります。
短期的な効果に惑わされず、持続可能な制度設計を考えられるかどうかが、信頼できる管理士を見極めるポイントになります。
理事会の場では、どうしても発言力の強い理事長や区分所有者の意見が場を支配しがちです。
管理士自身も、生活がかかっていれば迎合したくなる場面があるでしょう。
しかし、信頼できる管理士は「特定の個人の利益」よりも「管理組合全体の利益」を優先します。
もちろん言い方や伝え方には配慮しつつも、不合理な提案に対してはきちんと異を唱え、全体の議論に引き戻す役割を果たさなければなりません。
私自身、若手の頃は率直に意見を述べすぎて理事長から反発を受け、契約が終了してしまった管理組合もありました(今振り返れば、当時は未熟でした💦)。
それでも「伝えるべきことは伝える」という姿勢を貫き続けた結果、やがて「管理組合のために発言してくれている」と理解してくださる区分所有者の方々から信頼をいただけるようになり、長期にわたって契約を継続していただける物件が着実に増えてきたと実感しています。
この「芯を通す態度」が、長く付き合える管理士を見極める最後のポイントです。
信頼できるマンション管理士かどうかを判断する基準は以下のとおりです。
✅三方よしの発想を持っているか
✅短期ではなく中長期で物事を考えているか
✅声の大きな個人に迎合せず、全体の利益を優先できるか
資格や経歴だけでは測れない「姿勢」こそが、管理組合にとっての安心材料になります。
まずは営業の段階で、助言の中にこれらの「姿勢」が感じられるか確認することをおススメします!