管理組合にマンション管理士は必要ない?

※ここでは、「マンション管理コンサルタント」も国家資格者「マンション管理士」も同じ職業として、「マンション管理士」を主語にお話ししますね。

あなたのマンションの理事会にマンション管理士が出席して助言したり、マンション管理士が総会での議論に参加して理事会の代わりに発言する…といったイメージが湧かない方、結構いると思います。

あなたにとって、マンション管理組合(理事会)に出入りしている外部者は、「管理会社」以外に考えたこともないのではないでしょうか?

管理会社はほとんどの場合、新築マンションの分譲・販売時から分譲主のグループ会社が管理業務を担当することが決まっていて、マンション購入者であるあなたにとって「管理会社は初めから決まっている存在」であり、「空気のように『いて当たり前・不可欠な存在』」です。

それに比べて、マンション管理士が分譲・販売時から導入されているマンションは皆無です。

管理会社=いて当たり前・必要不可欠

マンション管理士=必要なの?

という発想になるのは、当然です。

当社の代表である私でさえも、2001年(平成13年)に国家資格「マンション管理士」の制度が創設され、独立を目指して立ち上がるまで、マンション管理組合の現場にマンション管理士が同席する姿はなかなか想像できませんでした。

 

あれから15年以上がたち、今では国家資格としてのマンション管理士が少しずつ浸透しています。当社も創業から今日(2017年(平成29年)3月1日現在)に至るまで、延べ190件、29,500戸分のマンション管理組合からコンサルティングのご依頼を頂いてまいりました。

しかしなお、マンション管理士が世の中のマンション管理組合へ浸透しているかと言えば、まだまだです。やはり「うちのマンションにはマンション管理士は必要あるの?」と疑問をもっている理事長や組合員が多いと思います。

特に、当社で言えば、「理事会アドバイザー(年間顧問契約)」については、マンション管理士がどのような支援をしてくれるのか?最もイメージがしづらいと思います。

そこで、これまで当社を採用し、実際に活用して頂いたマンション管理組合の理事長や理事から頂戴した声や当時の会話を思い起こしながら、「マンション管理士が必要ないと感じる幾つかの理由や誤解」に一つずつ答えてみたいと思います。

 

管理組合から「マンション管理士は必要ない」と言われる理由

管理会社がいるから間に合っている、という誤解

回答:管理会社に相談できないことも相談できます。

このような質問をされる方は、

「管理会社のフロントマン(担当者)とマンション管理士は似たような仕事ではないか?」
「管理会社のフロントマンも質問すれば答えてくれるし、助言もしてくれる。だから管理会社で間に合っているし、別にマンション管理士を雇うと管理費が無駄になる」

というイメージを持っているのだと思います。

一方で、当社を活用してくださったマンションの理事長や理事からは、次のように言って頂けます。

  • 管理会社のフロントマンは理事会から依頼や指示をしなければ仕事をしない
  • フロントマンの助言には、間違いや疑問が多い
  • フロントマンからは具体的な改善提案などほとんど出てこない
  • フロントマンの経験が少なく、頼りない
  • 大手管理会社なのに他の管理マンションでの事例が共有されていない
  • 対応が非常に遅い・成果物の精度が低い
  • 言わなければ動かない・言っても動かない
  • 修繕工事の見積もりが管理会社からのものしか持ってこない
  • 理事会で相見積もりを取得したら◯割安く、管理会社の見積もりが信頼できない
  • そもそも管理会社に支払っている管理委託費の妥当性がわからない

これらのことから、

「管理会社とは別の視点・立場でみてくれる第三者が必要だと感じた」

と、当社を活用してくださるケースがほとんどです。

もともと国土交通省が国家資格であるマンション管理士が創設した背景には、

「素人の消費者であるマンション管理組合と、マンション管理のプロである管理業者との間で上記のような不満や疑問・トラブル・紛争・訴訟が頻発するようになって、管理組合の側に立った第三者の必要性が高まった」

ことがあります。

つまり「管理会社がいるから間に合っている」のではなく、「その管理会社の対応に不満や疑問・不安があるので、別途セカンドオピニオン的に活用したい」という理事長から、ご相談があるのです。

管理会社にもマンション管理士がいる、という誤解

管理会社に属さない外部者のコンサルタントとして採用しましょう。

このような質問をされる方は、マンション管理士を

「資格者」
「一定のスキルを持った人」

として見ています。

こういった理事長に管理会社のフロントマンは

「私もマンション管理士を持っていますから」とか「我が社にはマンション管理士が多数います」などと言って、理事長に「これ以上のマンション管理士は不要」と意見します。

それはそうです。ほとんどの管理会社(フロントマン)にとっては、自分たち以外にマンション管理の専門知識や経験を持ったプロが入るということは、自分たちの仕事ぶりが見られることになります。

「管理会社の仕事はこの程度で満足しなければならないかと思っていた」
「管理会社にもっと仕事を頼んでよいの?」
「管理会社が出してくる見積もりは割高だったのか」

と何もしらなかった管理組合(理事会)に「不都合な事実」を気付かれてしまうことが怖いのです。

ですから、管理会社の内部にいるマンション管理士は「一定の知識を持っている証拠」にはなりますが、管理組合にとってのメリットはないです。管理会社に属さないマンション管理士だから意味があるのです。

当社は、マンション管理士という「国家資格者」を売っているのではありません。
管理組合のセカンドオピニオンとして、

「管理会社の極めて限定的な経験やノウハウとは違った『問題解決力や合意形成能力』」

「管理会社のやっている業務をチェックする『機能』や緊張感もって業務遂行してもらうための『抑止力』」

「あなたのマンションの住み心地と不動産価値を高める『提案力』『実行力』」

を売っているのです。

いくら管理会社にマンション管理士資格を持ったフロントマンがいても、またそのフロントマンに一定の能力があっても、外部のマンション管理士(コンサルタント)を入れることとは、その意味がまったく違うのです。

「管理会社の社員がマンション管理士を持っているから新たなマンション管理士は不要」というのは、全く的の外れた話なのです。

管理会社とマンション管理士でダブルコストになる、という誤解

むしろ割高な管理費を削減し、マージンの乗った工事見積もりを抑制できたりします

上述の通り、管理会社と外部のマンション管理士とでは、その役割は全く異なります。決してダブルコスト=重複した仕事ではないことを、よくよく考えてみると理解していただけると思います。

当社を活用してくださった管理組合の理事長や理事の中でも特に、はじめのうち当社のコンサルティングに疑念を持っていた方ほど、次のように言って頂けます。

  • 管理会社にもマンション管理士がいると聞いて、新たな活用は不要だと思っていた
  • フロントマンはマンション管理士の資格を持っているけれど、何もやってくれない
  • 管理会社にマンション管理士がいるから安心と思ったが、もよく考えたら「自主監査」みたいなもので意味がない
  • フロントマンがマンション管理士を兼務しているから別に入れたらダブルコストになるだけと思っていたが、全然違うことがわかった
  • むしろマンション管理士が管理会社の割高な管理委託費の減額をコンサルティングしてくれ、マンション管理士を活用してもなおお釣りがくるとは思わなかった
  • 管理会社が提案する補修工事の見積が割高で、マンション管理士のお陰で工事費が安くなった
  • 管理会社が提案する修繕工事が、実は部分補修程度で良いとの助言が得られ、ムダな支出を防ぐことができた

これらのことから、

「外部のマンション管理士(コンサルタント)は、管理会社の資格者とは全くの別物」

であり、ダブルコストでないことがおわかりいただけるのではないでしょうか?

繰り返しになりますが、もともと国土交通省が国家資格であるマンション管理士が創設した背景は、

「素人の消費者であるマンション管理組合と、マンション管理のプロである管理業者との間で発生したトラブルや紛争などが頻発するようになって、さらに管理会社に相談できる先がない」

でした。

管理会社を相手に弱い立場に立ってきた管理組合。その管理組合に専門知識や経験を補強し、管理組合の立場に立って助言・提案することが、マンション管理士の役割です。

管理会社とマンション管理士が「業務が重複する=ダブルコストになる」のでは決してないのです。

※管理会社の対応レベルが高く、管理委託費がリーズナブルで中間マージンを取らず、大規模修繕工事でもリベートやバックマージンを取らないなど誠実で、両者の関係が良好であるマンションにマンション管理士を導入するのは、「良好な関係(管理会社の対応)を維持するために緊張感をもたせる」以外には主だった理由がありません。
この場合はマンション管理士を「監査機能」程度に軽く(安く)採用することをおすすめしています。

知識・経験のないマンション管理士が多い、という懸念

複数のマンション管理士から選びましょう

上述の通り、管理会社とは別に外部コンサルタントとしてのマンション管理士を活用することには大きな意味があります。

しかし、すべてのマンション管理士が「活用に値する」わけではありません。「力のない」「役に立たない」マンション管理士も一定数います。

弁護士でさえ、司法試験に合格しただけではとてもメシが食えません。机上の知識だけでクライアントの役には立たないでしょう。試験に受ける程度の知識だけではなく、やはりある程度の経験や実践は必須です。

問題は、マンション管理士としての経験を積む場がほとんどないことです。

弁護士であれば、「メシが食えている」弁護士事務所は沢山ありますから、どこかに修行に入れば経験を確実に積むことができます。

しかし、マンション管理士の場合、「メシが食えている」マンション管理士事務所が少ないと思われます。「メシが食えている」事務所でも個人事業主で、一人で十分、というところも多いと思われます。当社でさえ、新たなマンション管理士の募集は常時1~2名程度です。

一方で、メシが食えているマンション管理士は、着実に増えていると思います。
当社のような複数のマンション管理士を抱えるような事務所から、管理会社のフロントマンから独立した個人事業主、マンション理事長を経験して独立した方、行政書士や建築士・税理士等の資格と兼務してそれぞれの強みを活かす事務所など、様々な形態で活躍している方がいるようです。

また、多くのマンション管理士は、都道府県単位の「マンション管理士会(支部)」に所属し、日頃から勉強会や研修を行い、行政と連携して無料相談会を開き、管理組合の相談に乗るマンション管理士も多いようです。
マンション管理士会へ連絡すると、会に所属(登録)しているマンション管理士を紹介してもらえます。

管理組合(理事長)としては、実績や経験のあるマンション管理士を探して理事会運営をサポートしてもらいたいところです。ここは当社を含めて複数のマンション管理士を比較し、管理会社に知識・経験で負けず、管理組合の側にたって助言してくれるところを探すことをおすすめします。

以上、「管理組合にマンション管理士は必要ない!?」という理事の様々な想定理由に回答してみましたが、いかがでしたでしょうか。
良いマンション管理士の支援を受けることで、管理組合にとって役に立つことが多いと確信しています。

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