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2022.04.30

理事長は『注文』するな『相談』しろ

このことを理解していないマンション理事長やマンション管理士・管理会社フロントマンの多くが、多くの無駄を引き起こしています。

理事長の頼み方が下手・受け手側の捉え方がまずい、という話です。

例えば、先日とあるマンションの理事長からあったお問い合わせに『○○で困っている。今の管理規約には▽▽と書いてあるので、▼▼のように改定すればよいと思っているのだが、他にも改定が必要かどうか、自分は専門家でないのでお願いしたい。可能か?報酬はいくら?』といった、かなり具体的なオファーがありました。

マンション管理の現場(理事会や総会の場)でも、理事長からのこんな相談、ありませんか?
あなたが理事長なら、このような具体的な相談をすることがありませんか?

新人のマンション管理士や、管理会社のフロントマンを見ていると、たいていが
可能です・了解しました
難しいです
報酬は○○円です
頂いている費用(報酬)の中で対応します
上司に相談します
と、『YESかNOか』という視点で回答します。

少し慎重なマンション管理士なら『具体的に管理規約をどのように変えたいのですか?』とか『納期はいつまでですか?』とか『管理規約の新旧対比表は必要ですか?』『総会での説明サポートもしましょうか?』
といった『ゴール』に関する質問をするでしょう。

でも、僕的には、両方とも初期対応としては『まったくのNG』です。
正しい『最初の回答』は

『なぜ、管理規約の改定が必要だと考えたのですか?』

です。
この理事長が『管理規約を変えなければならない』と考えるに至った『原点・動機・背景・事実関係』を聴くのが、一番最初にやるべきことです。

なぜって?
このケースにおける理事長からの『相談』は、実は『相談』ではなく『注文』だからです。

もしあなたが、頭痛が酷くて我慢ができなくなり、医者に行ったときに、どの様に相談しますか?
『頭痛が酷い。○○に原因があるから、▽▽の治療をしてほしい。』って、『注文』しませんよね?

まずは医者から『どうされました?』と聞かれて、『実は昨晩の○○頃から、■■のような症状が出て、今朝になった酷くなった』と、自分に起こった事実だけを話しますよね。
だって、単なる頭痛なのか、肩こりから来ているだけなのか、脳に腫瘍ができているのか、薬の処方で良いのか、検査が必要なのか、今すぐ入院するレベルなのか、つまり回答や提案を考えるのは医者だからです。

もし患者が『頭痛の原因は多分○○だから、薬を出してほしい』と『注文』して、医者が二つ返事で『はいわかりました』って薬を出したら、このように依頼する患者もアホですが、真に受けて薬を出す医者に不安を持ちませんか?そんな医者いませんよね?

患者の症状を正確にヒアリングし、原因を特定・推定し、治療方法を決めるのは、患者じゃなくて医者ですよね?
理事長の悩みを正確にヒアリングし、原因を特定・推定し、対応方法を提案するのは、理事長じゃなくてマンション管理士やフロント担当者ですよね?

相手の言うことを『注文がきた』と即『YES・NO』と回答して良いのは、飲食店の店員だけです。
『明太子とイカの和風パスタをお願いします』と『注文』されて『なぜそのパスタが食べたいのですか?』とは聞きませんよね(笑)

注文したお客様の顔を見て『いや、あなたの今の表情や声の調子、しぐさからすると、パスタではなくイカ墨のリゾットの方がよろしいですよ』と言ってくれる店員さんがいたら、僕的には非常に興味をそそられますが、99%の人は『は?』となりますよね。

パスタのオファー=『注文』です。
理事長からのオファー=『相談』であり、『客自身が、ゴールへのたどり着き方を理解していないで、自分の思い込みを添えて注文しているように聞こえるだけで、実は相談』です。

理事長から具体的な進め方などの意見も含めた『相談』が来たら『なぜそれをしたいのか』を良く聞き直すことがとても重要です。

経営コンサルタントである大前研一さんは『良きコンサルタントは質問力がずば抜けている』と言いますが全くその通りです。クライアントの相談や質問の『隠れた意図』をあなたが理解するまで、安易に『注文』を受けたり、答えを出してはならないのです。

これで安易に対応し、言われた通りの内容で正確な管理規約改正案を作ったとしても、実際に理事会や総会に諮ったとき『なぜ管理規約を改定する必要があるの?』『もっと検討することあるよね』と反論が出るか、何となく承認されたとしても『間違った(ズレた)ルールが合法化』されただけであり、将来に禍根や矛盾を残す可能性がでてきます。

理事長からのオファーを『注文』と受け取らず『相談』だと考え、理事長に質問を重ねていくと、新たな事実が出てきたり、理事長の本音がでてきたり、理事長の頭にもなかった潜在的な想いが見えてくるものです。
潜在的な想いは理事長本人も気づかなかったものです。

話しを深く聞けば聞くほど、

  • なぜ管理規約の改定が必要なのか?
  • 細則の改定や制定でも目的を達成できるのではないか?
  • ルール改定は必要なく、別のアプローチをした方が良いのではないか?
  • 理事長の思い過ごし(杞憂)ではないか?
  • 今すぐに改定する必要はないのではないか?
  • そもそも理事長の発想や考え方が間違っているのではないか?
  • 今のままがベターなのではないか?
  • 規約改定どころではない、大ナタを振るわないとダメなのではないか?

という仮説が出てきて『管理規約の▼▼を改定したい』というオファー自体がどこかへ飛んで行ってしまった、、、ということが、あって良いのです。

僕が理事長にヒアリング(質問攻めですね)すると、当初理事長が注文してきたこと(管理規約の▼▼を改定してほしい)と、僕からの回答や具体的な進め方が全然違うことが、とても多いのです。

それで良いのです。
大切なことは『理事長の注文を言葉通りに受け取って反応すること』ではなく『問題を解決すること』なのですから。
『頭痛が酷い。薬を出してくれ』と相談(注文)されて、『何言ってるんですか、即入院ですよ』という回答を出すのが、できるマンション管理士や管理会社の仕事なんです。

目の前の理事長にもアドバイス(聞き方を変える)

マンション管理士や管理会社のフロント担当者に依頼するときは『注文』ではなく、医者や弁護士へ話す時のように『○○で悩んでいるのだけど、どうしたら良いと思う?』という『相談』から入ると、相手がまともなら、質問攻めされて、より間違いない答えにたどり着きやすくなります。
聞き方を変えてみてください。

聞き方を変えても良い助言が受けられない場合、相談した相手方の能力不足です。
「論理的思考力(※)不足」です。
マンション管理士を変えるか、フロント担当者の上司に相談しましょう。

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