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コラム『意外と簡単!?理事長の暴走を理事会で止めるルール作り』

2016.2.11~メルマガ第97号~
2017年(平成29年)11月27日更新

[今号のお題:意外と簡単!?理事長の独断専横を理事会で防ぐルール作り]

2017年(平成29年)11月25日の日本経済新聞で、「マンション組合理事長は解任できるか 最高裁が判断へ」とした記事が大きく取り上げられていました。
  

この記事を見て、以前にあるマンションで「将来起こるかもしれない『理事長の暴走』を止めるための予防的なルール作り」を提案したことを思い出しました。

◆強力な権限を持つ理事長が独断専横になった時のルールを

当社が理事会アドバイザー(年間顧問)のお仕事をいただいている、ある大規模マンションの理事会から、
「理事長が暴走したらすぐに止められるようなルールが欲しい」
という相談を受けました。 

いまの理事会は理事長以下、非常にバランスが取れていて、理事長ご自身も謙虚な方ですから、
独断専横など考えられませんが、
「将来の理事会がどうなるかはわからないから」と、予防措置としての相談でした。

◆理事長は総会で選任され、総会で解任するルールになっている

当社の顧問弁護士とのやり取りは、かなり法律的で難しいので、ここは思いっきり翻訳しながらお話します。

理事長の選任や解任は、管理規約の元となっている「区分所有法(いわゆるマンション法)」によって「原則として、総会の決議により解任する」と書かれています。そして、例外として「あなたのマンションの管理規約で別途のルールを作ることもできる」と書いてあります。

一方で、あなたのマンションの管理規約では、「役員(理事長を含む理事)の選任や解任は、原則として『総会で決議する内容』になっている」はずです。

う~ん、独断専横の理事長を辞めてもらうのに、総会を開かなければならないとなると、総会を招集する権限のある理事長が、自分で自分を辞めさせるための総会を開くことがありえないから、無理だ!

となってしまいますよね。

◆理事長の解任じゃなく『解職』という考え方

上記の『解任』とは、理事長に、理事長はおろか一理事としての活動も辞めてもらい、一組合員に戻ることを指します。100世帯のマンションで、総会で100人の賛否で選任されたのに、その後で10名の理事の賛成で理事長を下ろし、役員資格まで剥奪するのはちょっと乱暴かもしれません。

そこで、

『解任(理事長を辞めさせて、理事会役員そのものも辞めさせる)』

ではなく

『解職(理事長職を解いて、一理事(平理事)にする)』

としてはいかがでしょうか?

理事全員は「総会で選任」され、選任された理事全員の中で「理事長「職」を互選」したのですから、解職も理事全員の合議でできるようにする、ということです。

◆理事長を解職できる管理規約の改定イメージとは

※標準管理規約を改定するイメージです。

○変更箇所その1

(役員)
第35条 管理組合に次の役員を置く。
一 理事長
二 副理事長 ○名
三 会計担当理事 ○名
四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。) ○名
五 監事 ○名
2 理事及び監事は、○○マンションに現に居住する組合員のうちから、総会で選任する。
3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事の互選により選任する。
 
ここへ、新たに
 
4 理事長、副理事長、及び会計担当理事は、理事会の決議により解職(役員の任を解くことなく、役職のみを解くことを指す。以下、同じ)することができる。
 
と挿入する。
 
○変更箇所その2

([理事会での]議決事項)

第54条 理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の各号に掲げる事項を決議する。
一 収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画案
二 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止に関する案
三 長期修繕計画の作成又は変更に関する案
四 その他の総会提出議案
五 第17条に定める承認又は不承認
六 第67条に定める勧告又は指示等
七 総会から付託された事項
 
ここへ、新たに
 
八 理事長、副理事長、及び会計担当理事の選定及び解職

と挿入する

※七のところに入れて、今の七を八へ繰り下げるほうがしっくり来ますね。

◆ルール改定の注意点とは?(ちょっと難しい)

これで[理事長が独断専横になった時のために『理事会の決議で解職』]が可能となりますが、同時にいくつか検討しておいたほうが良いことがあります。

・管理規約の改定は3/4以上の賛成が必要
上述のルール改定は、総会で3/4以上の賛成が必要な、結構ハードルの高い議案となります。
まだ管理組合が平和で賛成(議決権行使や委任状)が集まりやすいうちに、予防的な観点で早めに改定しておくことをおすすめします。

・用語の使い分けを
理事が住民から総会で選ばれるのは『選任』、総会で辞めさせるのは『解任』ですが、今回のように理事会決議で理事長職を解くのは『解職』そして、理事の間で理事長などの役職を互選するのは「選定」と修正しておくなど、言葉を定義を明確に使い分けておくことをおすすめします。

・理事長を解職した場合のフォローを明確にしておく
理事長の解職ルールを作っておく場合、次の理事長が選定されるまでの引継ぎルールや副理事長が暫定的に理事長へ選定されるなど、理事長職が空白にならないようなルールも必要です。

・理事長の解職を理事会で決議する要件を
あなたのマンションの管理規約では、理事会でのすべての決議は「理事会(の会合)に出席した理事の過半数の賛成」で決まるルールになっていると思います。例えば理事が10名で、理事会への出席者が7名の場合、過半数=4名の賛成で決議できることになります。理事長の職を10名中4名の賛成で解く事ができるとなると、かなり簡単に理事長を下ろすことができてしまいます。悪意を持った理事数名が集まって理事長を降ろすことができるルールも考えものです。

そこで、理事長の解職条件は、「出席理事(上述のケースでは7名)ではなく、理事(同10名)の3/4とか2/3以上の賛成で決議できる」など、多数の理事の賛成があって初めて解職できるようなルールにしておき、『理事長の解職は総会でなく理事会決議でできるようになったけれど、理事会の内部で多数の賛成が必要』と、理事による解職が濫用されないような配慮も検討の余地があります。
 
「将来の理事長が暴走した時のルール作り」いかがでしょうか?
 

※将来の憂いを今から解決!理事会アドバイザー(年間顧問)はこちら

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