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保険の対象と賠償責任

「規約(法律)と団地を最も得意とする」マンション管理士、平山晃です!!

今回のお題「保険の対象と賠償責任」

2月の大雪のとき、
首都圏では様々な障害や事故が起きたようです。
マンションにおいても例外ではありません。

積雪によって駐輪場(附属施設)の屋根が破損した、
といった事故は少なくないようで、
それによる保険金請求も多数発生したと聞いています。

共用部分(附属施設も同様)であれば保険の対象です。

では、駐車場に停めていた自動車はどうでしょう。

2月の二度目の大雪では次のような事故がありました。
(当事者保護のため一部修正しています)

マンションの外壁にある庇に多量の雪が積もり、
その後にそこから落雪し、その落ちた雪の塊により
庇の下にある駐車場に停めてあった自動車が破損した。

その庇は、日常の管理では除雪できない位置にある上に
結果として記録的な大雪となったために多量の積雪。

気象予報は
一度目ほどは降らないといったニュアンスであったものの
管理組合は大雪に対する注意喚起書面を事前に掲示していた。

この自動車の所有者(区分所有者)が
管理組合に対して、保険で対応するように求めました。

しかし、

その管理組合が掛けているのはマンション総合保険。
保険の対象は、ざっくりと言えば共用部分です。
個人所有の自動車は、共用部分ではないため、
管理組合が掛けている保険では対応できません。

一方で、このような事故において、
そもそも管理組合が賠償責任を負うのか
という問題があります。
上の例においては、結論は「負わない」です。

このような事故において
管理組合に賠償責任が生じるのは
次のいずれかのケースです。

(1) 建物の設置または保存の瑕疵により損害を与えた
(2) 管理組合に拠る不法行為

上の例においては、(1)は該当しないと考えられるので
(2)が成立するかが問題となります。

不法行為は、次の4つの要件が揃うと成立します。

(a) 加害者に、故意または過失があること
(b) 権利または法律上保護される利益を侵害したこと
(c) 損害が発生したこと
(d) 加害行為と損害発生の間に因果関係があること

上の例において、駐車場に停めてあった自動車が
庇からの落雪によって破損したことにつき、
(b)(c)(d)はあると言えたとしても
(a)はあると言えるでしょうか。

状況から考えて、故意は否定されます。
では過失があったのか。

日常の管理では除雪できない位置にある庇の除雪を
更にあの悪天候下で行うことは不可能であると考えられ、
また、降雪が止んだ後も、
道路には大量の雪が残ったために交通事情が悪い上に
除雪に対応できる業者は出払っているために
手配がままならなかったことも考えれば、
管理組合に過失があるとするのは難しいでしょう。

大雪に対する注意喚起書面を掲示した点も含めれば
なお過失は否定されるべきであると考えます。

このように考えると不法行為の成立要件を欠くため、

管理組合に損賠賠償責任は生じません。

このように考察してきましたが疑問が残ります。

そもそも、管理組合は加害者になり得るのでしょうか。

長くなりましたので
これについてはまた別の機会に検討したいと思います。

以上、「春になり、青空と新緑の下でワインを飲む休日を心待ちにしている」平山晃でした!

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