コラム

我がマンションの植栽が育たない!(1)

2013.10.8~メルマガ第44号~

【今回のお題:我がマンションの植栽が育たない!(1)

 

当社がマンション管理コンサルタントとして頂くお問い合わせ・ご相談の中で、
意外に多いのが「植栽」に関するものです。

・築20年以上が経過し、様々な問題が出てきたのだがどうしたら良いか、、、

・まだ入居して日が浅いのに、うちのマンションの植栽に元気がない

・すでに枯れ始めているがアフターサービスで植え替えしてもらえるか?

せっかくお問い合わせが多いところで、今回は植栽について記すことにします。

◆都心の少~中規模マンションでは害虫か撤去希望の話題が多い

ひとくちに『植栽』といっても、その地域や緑化率
(敷地に対してどれくらいの緑があるか。つまりマンション内の緑の割合)
によって、問題が異なります。

いわゆる都心の商業地域に立つマンションや投資型のマンションや
小規模なマンションには、そもそも植栽がほとんどありません。

狭い敷地の中で猫の額程度の植栽しかありませんから、
居住者から植栽の存在すら忘れられているのが現状でしょう。

管理会社が植栽管理をおろそかにし、
害虫が発生して居住者からのクレームがでてようやく存在に気付く、
なんてこともあり、居住者は植栽にあまり良い印象を持っていません。

むしろ少ない土地を有効活用するために
植栽地を潰して自動販売機や駐輪場を設置したり、
保守費を減らす削減するために撤去して砂利を敷く管理組合が多いです。

また、タワーマンションのような総合設計制度(※)を利用して建てたマンションでは、
敷地に緑を植えただけでは行政が条例で求める緑化率を満たさないため、やむを得ず屋上に
植物(たいていは水が少なくても維持できるセダムのような多肉植物)を置いています。

屋上には管理会社のスタッフ以外は立ち入ることはほとんどなく、
『法の規定を満たすためだけにある植物』といえます。植物にはかわいそうですね。

このようなマンションからも植栽に絡んだ相談はあまり多くありません。

(※)総合設計制度とは?(用語集ブログより)
http://e-sumigokochiblog.livedoor.biz/archives/51192786.html

◆住宅街に佇むマンションや大規模マンションは『美観』を大切に

一方、割と落ち着いた住宅地域に立つマンションでは、
敷地内にそれなりのボリュームで緑があり、周囲の景観にあわせた植栽を
配置しているマンションも多く、居住者にも高い関心を持つ方が必ず一定数います。

最近では元々その地に植わっていた大木をそのまま(あるいは移設して)
残すようなマンションも増えており、緑に対する意識も高まってきています。

◆管理会社に持って欲しい「植栽に対する認識」

一方で、管理会社の植栽に対する意識はお世辞にも高いとは言えません。
いや、むしろ「もっとも放置された管理業務」かもしれません。

管理人が個人的に植栽が好きで面倒見が良い場合を除き、
害虫や枯れに対する対応が後手に回り、クレームになることが多いのです。

◆なぜ管理会社(やマンション管理士)は植栽に対する意識が低いのか

管理会社は、建物・設備の保守や会計などのルーチンには強みを発揮しますが、
植栽のような生き物に対しての勉強(研修)はほとんど無く、非常に弱いのが
現状です。フロント担当者で植栽に明るい人をまず見たことがありません。

これはマンション管理士にも言えます。
私も一時期植物に関する書物を買い漁り、写真を撮って勉強した時期がありましたが、
なかなか深く入るレベルには至っていません。

マンション管理業界に従事している人の中で、植栽に対する意識は
建物・設備に対するそれと比較して相対的に低いのが一般的といえます。

それはなぜでしょうか?

1)建物・設備と異なり、枯れても『居住そのもの』に影響を与えないから

建物や設備の保守を怠ると、ライフラインの寸断や雨漏りなど、居住者の生活に
直結するため、クレームを未然に防ぐ意味で誰もが割と高い意識を持ちますし、
社内でも研修があります。保守点検の協力会社との連携も比較的取れています。

しかし植栽の場合、枯れたり踏み荒らされても、居住者の生活に直ちに
影響がでる訳ではありませんし、働き盛りの世代を中心に植栽に対する関心のない方が
多いため、管理会社としても他のやるべきことに比べて優先度が下がる傾向にあります。

2)勉強の範囲が広い

まず植物の数が多いのと、素人にはなかなか見分けが付かないこと、そして植物ごとの
傾向と対策を理解しようとすると、勉強の範囲がとんでもなく広い、ということが言えます。

勉強範囲が広い割に、勉強の成果を発揮するケースが相対的に多くないため、
管理業界全体として植栽に対する学びの意識の高まらないのが現状です。

3)植栽の保守を委託内容に含めない傾向が強い

社内に植栽の専門チームを抱える管理会社は、大手と言えどもほんの一握りです。
その一握りの管理会社も、結局のところ植栽業務の『元請(手配屋)』となり、
実態は下請けの造園会社へ丸投げとなります。

したがって、一部の専門スタッフ以外は植栽のことを学ぶ機会すらありません。

植栽スタッフがいる一部の管理会社ですらこのレベルとすると、
ほとんどの管理会社はもっと酷い状態でしょう。

管理会社にとっての売上げという意味では、植栽も他の設備保守と同様に
毎年何らかの作業があり、うまく下請け業者を使いながら安定収益を上げても
良さそうなものですが、それ以上に

『生き物相手の不確実性』

をリスクと捉え、費用対効果が低いと考えてしまいます。

リスクが高く収益(マージン)を上げにくいと考え、
地元の造園業者を紹介して管理組合と直接契約することを勧めている
管理会社がほとんどです。

それで造園業者からわずかでも紹介料(バックマージン)を取ってリスクを負わない

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